表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
693/740

691話 All fall down 01


【All fall down】



散らかった部屋。


心地良く散らかして。

それを楽しみ、心地良く過ごしてきた部屋。



───今はもう、ただの《ゴミ置き場》だ。


───この有様を見ても、何ひとつ感情が沸き起こらない。



視界に入る物全てを壁に投げつけ、破り捨て、踏み砕いて壊した。

その『作業』を始めてから、完全に終えるまで。

自分が僅か一言すら発さなかったのを憶えている。


怒りや、憎しみ。

恨みも悲しさも無い。


正気のまま、大切にしてきた《宝物》を手当り次第に破壊して。

数時間経過しても、後悔や喪失感は去来しない。


ただ、全てが失われただけ。



───偉い天使が約束した通り。


───殺戮は終わった。



《規格外品》と呼ばれた僕等が殺されることはなくなった。


本当にそうであると、慎重に観測し。

自身でも幾度と試し。

果ては出会った天使の口から直接、それを確かめて。



ついに僕は、世界各地のコミュニティに通達した。


”迫害の時代は終わった”

”もはや、怯え震える必要は無い”

”天使はもう、僕等を殺さないのだ”、と。



皆、涙を流して喜んだ。


たとえ、仲間を殺害された恨みは消えなくとも。

やっと死の恐怖から解放され平穏が訪れたことに歓喜し、喝采を上げて。


僕自身も、嬉しかった。

そうなるまでの経緯、舞台裏を知る身として、複雑な思いはあれども。



だが。

その祝福すべき《宣言》から、3日も()たず。


僕の友達は、全員死亡した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ