表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/737

67話 Tears of Victors 07



 『校長先生』の見た目は、まあ、アレだ。


 何のヒネリも無く風船2つを縦に繋げた、シンプルな形状。


 『ミニ校長』に、カールした八の字ヒゲを付けて。

 そのまま大きくしただけだ。


 ・・・天井に頭が突っかえて、若干変形はしているが。

 ・・・後はまあ、申し訳程度の、丸っこい手足があるくらいか?



「~~~~~~」


 余裕の笑みで前進してくる、『校長先生』。


 突如、結界の向こう側に、小さなラウンドテーブルと椅子が出現し。

 どうやったかは不明だが、そこに腰掛けて。


「~~~~~~」


 小さな小さなティーカップが、口元に運ばれる。


 即ち。

 アフターヌーンなティータイムを楽しんでいらっしゃる。



 チャララーーララーー。


絶対攻防壁(バキュラー)の残り時間、5分です》



 奇天烈なサウンドと共に、アナウンス。




 ・・・ヤバいッ!!

 5分間で、作戦会議かッ!?







「───という訳で。マッチャム先生、《(タンク)》な」


「ちょっとおおおお!?嘘でしょ~~!?」


「仕方無いでしょう。先生のサンダルが『ヘイト武器』だと、確定しましたから」


「誰か代わってよおおお!!」


「先生以外に、履ける者がいませんので」



 プレイギルが、すい、と長い銀髪を掻き上げ。

 落ち着いた口調で、先生を『落とし』にかかっている。



 白衣が似合うなぁ。

 やっぱり、人間界じゃ医者をやってるのか?



「『攻撃(アタック)』班、武器は持ったか?」


「は・・・はいッ!!」


「お前らは、とにかく『校長先生』の背後から叩け。

 大丈夫だ、殆どの攻撃はマッチャム先生が引き受けてくれる」



 ひぃ!、と先生の震え声が上がる。



 うむ。

 聞こえるように言ったからな。



「おっと。残り30秒ですね」


「配置に付け!!無事に卒業したかったら、気合入れていけよッ!!」


「はいッ!!!」







 ・・・ガシャアアアアアン!!!


 ガラスの砕け散るような、騒音。

 それとほぼ同時、教室内へ『ミニ校長』の群れが侵入してくる。



「『氷撃(アイス・ボルト)』!!」


「『炎の(ファイア・アロー)』!!」



 『雑魚殲滅』班が先制し、素早く後退。

 教室の隅まで奴等を引き寄せる。


 プレイギルが言っていた通り、『決戦場』の準備は万全だ。

 障害物となる机、椅子、ロッカー等の備品は、すでに他の教室へ運び出してある。


 後は、雑魚と『校長先生』の引き離しを、どれだけ維持できるか───




「~~~~~~」



 『校長先生』が、入り口で(もだ)えていらっしゃる。

 その巨体では、中に入れない。


 ぐにぐに、と体を揺すり、変形しながら突破を試みていらっしゃる。



「先生ッ!!恐れずに近寄るんだッ!!

 蹴りまくれッ!!

 今のうちに、敵対値(ヘイト)稼ぎだッ!!」



「う、うわあああーー!!やってやるじょーー!!」



 おかしな語尾になっているが。

 半泣きならぬ、全泣きで先生が特攻。



「こう見えても!!昔は地元で、『マッド・ベア』と呼ばれてたんだじょーー!!」



 げしげし、と蹴り続ける、俺の元担任。


 ほほう。

 そんな過去があったのか。

 意外だなぁ。



 入り口にハマッた『校長先生』の体色が、次第に赤く染まって───



「そろそろ抜けて来るッ!!先生、中央へ移動!!」


「わああああーー!!」



 すぽん、と軽快な音が響き渡り。




「ブルルオアアアアアアアーーー!!!」




 ───赤鬼と化した『校長先生』が突っ込んできた!



なんて学校・・・。

もしもこの日、授業参観とかだったら、どうなるんでしょうか(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ