表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
687/742

685話 天啓 05



───私は決して、《便利屋》ではない。


『The Pain of Dry Bones』の放映中も、放映後も、『集会』はあった。

ごく小規模、2〜3名による『儀式らしきもの』は、何回も確認している。


それらは確かに、『それっぽい事をして』はいたが。

結局は、遊びだ。

好奇心と暇に(まか)せた、文化的な余興。


一々付き合うようなものではない。


私が本当に現れてみせたところで、悲鳴を上げ逃げ出すだけだろう。

そして、二度と同じ事はしない。

向こうにその程度の覚悟しかないのは、明白だった。



けれども。

現在、日本の都庁とやらを包囲している集団は、それらと根本的に異なる。


彼等はとんでもなく強い《願い》を持ち、必死に訴えているが。

何をしてほしいでも、助けてくれでも、叶えてくれでもない。



単純に、私の《復活》を望んでいる。


ただそれだけの。

それさえ果たされるなら、後はどうなっても構わないという、強固な願い。



「───私が───間違っていたわ」


「レンダリア様」


「正直、失念していた。

彼等の事、心情を計算に入れていなかった。


いいえ。

より正確に言うなら、ほとんど気にも止めていなくて。

時間(とき)()てば煙のように消えるだろう、なんて楽観していたのよ」


「・・・・・・」



溜息をつく私の横で、セイジは無言。



私は。

現実の世界へと出て来る為、多くのドラマ視聴者の『感情』を利用した。

その際には、悪魔や風変わりな天使など、人ならざる者のそれも使ったが。


《出現しようとする私》を知覚できたのは、一部のみ。

特に人間は、ごくごく少数しか何が起きているのか理解できなかった。



それはまあ、仕方のない事ではある。


人間達はそういう能力を持ち合わせていない故に、『人間』なのだ。

皆がアニーみたいに突き抜けてたら、この世はとっくに崩壊している。



───問題は、その(あと)だ。



ドラマの最終回にて、【悪魔レンダリア】は死んだ。

完全に消滅した。


つまり。

私の《現界》を知らぬ者にとっては、それこそが結末。

揺るぎない事実で。



彼等は受け入れることが出来ず、苦しんだのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ