表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
656/743

654話 Nothing worth living for or dying for. 04



「・・・なあ、弁護士を呼んでくれよ。

それまでは何も喋りたくない。

黙秘権を行使する、ってやつで」


「実に無理な相談だ」



長髪を後ろで(しば)ったイケメンが笑顔のまま、即座に『NO』。



「けれども、弁護士の代わりに《墓守》なら呼べるが?」


「!!」



おい!!

どうしてここで、アイツが!?



「・・・まさか・・・例の『ドロドロ死体』を持ち込んだのは」


「ああ。

その反応を見るに、『あれら』はしっかりと売れたようだね」


「・・・・・・」



ちくしょう!

あの《強欲色情魔》と結託してんのか!


てことは、コイツも性格破綻者だな!

確定だな!



「───さて。

それでは、ちょっとした『遊び』をしよう」


「あ?」


「私が聞きたいであろう事を、君が予想して話す。

そういうゲームで、余りある時間を潰そうじゃないか」


「・・・・・・」



ほらみろ。

やっぱり、ロクでもない奴だよ。


嫌らしさの(かたまり)だ。

どうせ最終的には、どうやってでも欲しい物を手にするくせに。

その過程で《おまけ》もたっぷり吐き出させよう、って魂胆だな?



───そうはいくか!


───初っ端に釘を刺しておかなきゃな!



「どういう『ゲーム』であろうと、仲間の事は喋らない」


「ふむ」


「それを聞きたいなら、遊びじゃなくて拷問でもやれよ。

自慢じゃないが、すぐに洗いざらい吐く自信があるぞ」


「うん、今のは面白い。

『面白かった』な。


けれど、そんな事は《方針》に反するが故に、出来ないんだよ。

出来るとしても、わざわざするつもりは無いね」


「??・・・なんでだ?」


「君達《規格外品》が何処に潜伏していようが。

生きていようと、死んでいようと───何の興味も湧かないからさ」


「だったら、殺す必要だって無いじゃないか」


「ああ。無いね、まったく」


「・・・・・・」


「”《規格外品》を探して『削除』せよ”。

それを指示をしているのも、義務であると定めているのも、事実さ。


しかし、そうしなければならない明確な理由は無い。


放っておいたところで、君達が静かに暮らしているならば《無害》だ。

取り立てて騒ぐほど、目障りという訳でもない」


「じゃあ、殺すなよ。今すぐやめろ」


「そうだね──────まあ、いいとも」


「・・・・・・」


「君が話してくれる内容によっては、即刻やめてもいいかな」


「・・・・・・」


「今後一切、どんな《規格外品》も『削除』しない。

そうしたところで当然、こちらには何の不都合も無いのだし」


「アンタは一体、僕に何を喋らせたいんだ?

はっきり言えよ、イライラするから」


「ははは、困ったな!

『君に話してもらうゲーム』の筈が、こうも掻き回されるとは。


流石、『無法の王(リデラーキア)』。

一筋縄ではいかないね!」


「おだてて逆さに吊るそうと、さっき食ったモノしか出ないぞ」


「いやいや。

───申し訳無いが、一服してもいいかい?」



手品みたく瞬時に出現させたタバコの箱を、天使が振ってみせる。



「・・・好きにしてくれ。

こっちは囚われの身だ、文句を言える立場じゃあない」


「そうか。有り難う」



カキン、とライターの蓋を跳ね上げる音。

着火の後に、また閉じる音。



「・・・・・・」



なんだよ、このシチュエーションは?


喫煙する天使なんて、どんなに優雅な仕草だろうと似合いはしない。

胡散臭いだけだ。


それでなくとも得体の知れない男が、吐き出す煙で更に分からなくなる。

理解することを諦めてしまいそうになる。



───この長髪野郎は、いわゆる《主役級》だ。


───僕なんかじゃ到底、太刀打ち出来ない。



コイツが考えている事や望みが、ダイレクトに。

そのまま誰の同意も無しで、この世界のメインストーリーになるような。


そういう荒唐無稽な想像すらしてしまうほど、他の存在を超越している。

この場で白旗を上げ、”ごめんなさい”と降参したくなる。



「せっかく天界まで来てもらったのだから。

君には是非、有益な情報をもたらしてほしいのだよ。


その為に。

そこそこの知性があるなら、『何を話せば良いか』推測出来るように。


とても分かり易いヒントを出すとしよう」



下等生物を憐れむ言葉と、慈悲深い微笑で。

ふう、と細く白煙を吐いた天使が、僕を見つめた。



「───どうして私が、意味も無いのに君達を『削除』し続けたか。


その思惑を話そうじゃないか、『無法の王(リデラーキア)』」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まじか、、、なんの意味もないのか、、、なんとなく、神を維持するため、とかミステリオス関係、とか破綻した魂を用いた製造工程の研究を防ぐ、とかなのかなぁと思ってたけども、なんの意味もないのか、、、きっつぅ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ