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60話 神より奪いし花束 09
「───お?戻ったか、マギル」
「ええ、ボス。少しは動けるようになりましたか?」
「まあな。
それで・・・その・・・上手く、やってくれたよな・・・?」
「ええ、完璧に」
「その花束、どうしたんだ?」
「───人間に貰いました」
「へぇ!!何かお前、嬉しそうだな?」
「まあ、多少は」
「そのスマホはどうした?買い換えたのか?」
「・・・・・・・・いえ」
「??」
「───人間に───貰いました」
バキッ!!!!
砕け散ったそれが、床へ叩きつけられ。
更に踏み付けられた。
何度も。
何度も。
「・・・上手く・・・やってくれたよ、な・・・?」
「ええ、完璧に」
蛆虫風情が!!
地獄の底から湧き上がってくるような、その言葉を。
ヴァレストは、聞かなかったことにした。
───まだ耳に残る、イタリア国歌を口ずさみながら。
花束を贈ったのは、リスヴェン枢機卿。
バレンシィ・ウォルトは、12年前に亡くなった、彼の母親です。




