表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
579/742

577話 分岐点 03



「オレはね。

この先、ダークエルフという身分が必要になってくる、と思うんですよ」


「『身分』??」


「ええ。

最近の、人間達の動向を調べているとですね。

某国なんか、情報開示やら何やらで色々と『調整』しているようで。


誰が何を言おうが、あれほど”UFOなど存在しない”、ってスタンスだったのが。

今はもう、”不可思議な飛行物体の目撃データもある”、に変わってきた。


これって、いずれは公認する為の布石だともとれるでしょう?

50年後か、100年後。

地球外生命体と、その技術を受け入れる日が来るかもしれない」


「まあ、そうかもな」


「・・・・・・」


「だとしたら。

そこがエルフにとっても、ターニングポイントなんです。


”エルフという種族が、この世に居る”、と。

人間社会に対してカミングアウトする、絶好の機会だと思うんです」



───おお!


まさか、そうくるとは!


《エルフを人間公認にする》。

よく思い付いたもんだ。

これは中々、衝撃的だぞ!



「それで・・・その時に、ですね。


”実は地球上には、それなりの数のエルフが居るけれど”

”ダークエルフは人間の勝手な創作物であり、存在していない”


これだとちょっと、おかしくありませんか?」


「・・・そんなもの、最初からおりはせんのだから、正直に言えば良かろうが」



族長が、嫌そうに口を挟む。


聞きたくもない話だが、黙っているのも腹が立つ。

そういう心情が、ありありと見てとれる表情だ。



「いやいや、それはマズいでしょう。

人間達には、エルフとダークエルフ、まあシャドーエルフとも言いますけど。

ほぼ一組みで、名が通っているんですよ。


”片方だけ本当で、もう片方は嘘”じゃあ、不自然なんです。

それが事実であったとしても、おかしく聞こえるんです。


さっきの話を例にするとですね。

”UFOは軍が開発した秘密機体として実在する”が、”宇宙人は居ない”。


そう説明されたら、メチャクチャ嘘臭くありません?」


「・・・それは・・・まあ、そうかもしれんが・・・」


「だから、ですね。

ダークエルフは、居てもいい。

むしろ、居たほうが都合がいいんです。

エルフ族の、これから先の可能性の為にも」


「お?」


「それは、どういう事だ?何を考えておる、コルツェン」


「だからー。サリウフォルトですって。

いい加減に憶えましょうよ!


・・・ええと。

それで、何の目的でオレらが《ダークエルフ》をやるか、なんですけども」



ぐびり、と音を立ててホウジ茶を飲み。

コルツェン改め、サリウフォルトが続ける。



「エルフから分かれて独自進化した、《ダークエルフ》。


エルフを参考にしながら、細かい部分を変えたり。

密かに、何故か同じな部分も入れてみたり。


そうやって、これから作り込んでゆくんですけどね。


これ、エルフであるオレらが演じる以上、限界があります。

エルフに出来ない事は、ダークエルフにだって出来やしない。

そういう、目には見えない『縛り』があるんです。


けれど、逆に言えば」



「その《ダークエルフ》は、エルフが真似できる、って事か」


「そうです!!

それなんですよ、アルヴァレストさん!!」



俺の発言に、パン!、と手を打つサリウフォルト。


族長宅にギュウギュウ詰めの、《ダークエルフ旅団》。

光の屈折率を操作して肌の色を変えた連中からも、喝采が起こった。



ふふん。

この程度は、理解出来て当然だ。


何しろ俺は、大戦の遥か前からエルフ族と懇意にしてきたドラゴン。


特にこの、『リトアニア在住なエルフ』に関しては。

嫌になるくらい背中に乗せた、因縁の間柄だしな!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ