54話 神より奪いし花束 03
「何か、足りない物はあるかね?」
「いえ。職務上、持ち合わせがありますので(黙れ、バーコードハゲ!)」
「おや?その瓶に入った粉末は?」
「落雷したヒイラギの根を乾燥し、磨り潰したものです(死ね、M字ハゲ!)」
「では、そちらの赤い───」
振り向いて。
とびきりの『笑顔』をくれてやる。
・・・ようやく、黙りやがった。
クソがッ!!
121名の、枢機卿。
その中でも、格段に発言力の強い者。
つまり、とんでもなく厄介な連中。
それがこの、8名。
もれなくハゲ散らかした、爺さん達。
こいつら、見た目もアレだが、中身はもっとひどい。
信仰と政治闘争を両立させた、ハイブリッド・モンスターだ。
他者を蹴落としはしないが、第三者に落とし穴を掘らせて、落とす。
その第三者に起きた『不幸な事故』の責任で、政敵の力を削ぐ。
それくらい出来なくては、この地位に留まれない。
そして。
そうであるから、『法王すら操れる』。
辞表を叩きつける暇さえ無く。
そんな化け物共から、『悪魔を召喚せよ』との、熱いリクエストだ。
・・・勘弁してくれよ・・・。
あと。
『カッコ良いの』って、どんなだよ??
・・・ああ。
ヤバイな。
頭の中に、イタリアンな奴が浮かんでしまう。
いや!
あいつは、駄目だ!
駄目だが、他のはもっと駄目だ!
潰れたヒキガエルとか。
一ツ目で緑色のコウモリとか。
赤黒い、XXXとしか表現出来ない、巨大な棒とか。
そんなのを呼んだ日には!
8名のハゲ達によって、僕もハゲにされるだろう!
───ド畜生ッ!!
心の底から、嫌なんだが!
全くもって、FxxKなんだが!
やはりもう、アイツしかない!!
「マーカス君、まだ掛かりそうかね?」
「・・・う・・・いえ・・・完了しました・・・」
───神よ!!
ああ、大いなる神よ!!
不肖、マーカス・ウィルトンは。
こう見えても、日々の礼拝を欠かさず。
欠かした事もありましたが、それは比率にして3割程度で。
ええ。
それでも私の信仰が足りぬ、と仰るならば。
迷わず、我が妹の魂を捧げます。
『嫌だ』と仰られても、捧げます。
ですから、どうか!!
どうかこの召喚が上手く行きますように───!!




