表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/737

52話 神より奪いし花束 01

毒舌劇場Part2・・・と見せかけて。

悪魔が報復するようです。


【神より奪いし花束】



 ───いかなる場合も、『最悪』に備える必要がある。



 それはまあ、困難であるし。

 実際には大袈裟すぎるにしても、だ。



 “多分、駄目だろうな”とか、“失敗するだろうな”とか。

 それくらいは常々考えておかないと、この世は渡れない。

 落とし穴の底で後悔しても、助かる道など無い。



 ───予測無しで打つ手は、必ず潰される。



 自分に才覚があろうが、なかろうが。

 相手が愚者であろうが、なかろうが。


 思考を放棄した者の行き先は、敗北のみ。

 誰も助けてはくれない。



 それを信条として、これまで生きてきたからこそ。

 雲海をゆっくりと降下してゆく機内で。



 僕は、『辞表』を書いていた。




 《至急、法王庁へ出頭せよ》




 ───これが意味するところは、至極単純。



 怒られるか。

 滅茶苦茶怒られるか。


 まさに、2つに1つだ。



 ・・・ふざけんなよ、クソ共ッ!!


 休暇という休暇を、ピンポイントで潰しておいて!!

 この上、僕に有り難い説教をくれるってんなら、上等だよ!!


 きっぱり、すっぱり、『特務』から降りてやるよ!!


 今期の賞与も、アップしてなかったしな!!

 いくらなんでも、やってられるかッ!!


 辞めてやるッ!!


 慌てて後任を探すがいいさ!!

 バーカ!!バーカ!!


 Axx Hxle!





 ・・・・・・。


 実は、『健康診断で呼びました』、とか。



 ・・・ないよなあ・・・やっぱり・・・。





 ようやくベルトコンベアが吐き出した荷物を受け取り。

 リムジンバスの時刻を確認しようと、電光掲示板を見上げた時。


 背後から、丁重な低い声が掛けられた。




「お待ちしておりました───どうぞ、こちらへ」




 ・・・あーーー・・・。


 『健康診断』の可能性は今、(つい)えた。


 これは、2番目だな。

 完全に、『滅茶苦茶怒られる』コースだ。



 誰かと間違えて声を掛けた、という線も無し。

 こちらの名前を尋ねないままで、相手は確信を持っている御様子で。


 まあ、雰囲気で分かる。

 こいつ、教会(カトリック)関係者だわ。



 ・・・いよいよもって、腹を決めなければならない。


 懐には、ありったけの思いを込めて書き殴った辞表。

 後は煮るなり焼くなり、好きにしてくれ!


 僕にはもう、怖いものなど無いぞッ!!


 無敵の美形!!

 悪魔の申し子!!


 寝た子も泣き喚く、マーカス・ウィルトン様だぞッ!!




 案内されるまま、外へ出て。

 ヤケクソで黒いセダンの後部に乗り込む。




「目的地まで、ごゆるりとお(くつろ)ぎください」




 ガチャリ、と。

 僕の両手に、手錠が掛かった。


 素早く何かを被せられ。

 視界が奪われた。



「─────────え?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ