502話 Remote Bomb 02
・
・
・
・
・
・
・
目の前に、湯気を立てる紙製カップが置かれた。
「さあ。ありがたく、飲むといい。
やさしいボスからのおごり」
「───余計な事を言う程、有り難みが薄れるぜ」
自販機のドリンク。
中身は、カフェオレか。
慌てて逃げようとしたんで、グリーン・ティーのボトルは置きっ放しだ。
仕方ないな。
一応、誰に奢られようとカフェオレに罪は無いから、飲むけども。
だが、何でこの真夏にホットなんだよ。
嫌がらせか?
自分のだけ当然の如く、氷入りにしやがって。
「───それで?結局、何の用なんだ」
「カルロゥの、知恵をかりたい」
「貸してやってるだろ。普段から、力一杯」
「これでもか、というくらい、かりたい」
「あ??」
「カルロゥでもだめなら、しかたない。
ばれすとのところへ行って、もじゃもじゃ達に頼むしかない」
「──────」
こいつ。
いやらしい言い方しやがる。
俺が駄目なら、ブレイキン&エイグラムだと?
《事務屋》の誇りを、チクチクと刺してくれるじゃねぇか。
荒事はともかく、頭脳のほうは互角だよ。
そう簡単に負けるつもりはないぜ!
「───とりあえず、言ってみろ。
簡潔に、ストレートに、的確に」
「・・・わかった。
仮にカルロゥが、わたしにべた惚れだった、として」
「ストレートだ、つってんだろうが。
『仮に』とか『もしも』は要らん!」
「そうはいかない」
「妙な意地を張ってんじゃねぇよ、お前は。
出せる知恵も引っ込むぞ」
「これは、意地とはちがう。
プライバシーのほご、すごくだいじ」
「ん?誰かに頼まれた件なのか?」
「そこまでは、知っていい。でも、それいじょうは、何もゆえない。
ぜったいに、情報をもらせない」
「──────」
「だから、ちょっと不便だけど。
だいたいのところを、『わたし』と『カルロゥ』と、『ろりこん』。
この3つで、説明する」
「──────ああ」
物凄く嫌なんだが。
目眩を堪えて、小さく頷くしかない。
さっさと聴いて、即座に解決してしまおう。
それが最善手だ。
俺には仕事が待っている。
残業なんざ、絶対にしないぞ。
そうならぬよう、定時できっちり終わらせるのがポリシーなのだ。
「じゃあ、いちばん最初から、ちゃんと話す」
「おう」
「まず、だいぜんていとして。
『カルロゥ』は、『真性のろりこん』で。
そのことはすでに、広くまわりに、知れわたってる」
───ぐっう。
なんて破壊力だ。
初っ端からもう、意識が飛びそうだ、これ。




