表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
494/752

492話 夏の宴、革命 08


ギター1本、どこでも参上!



・・・って、そうはいかないのが、『現実』なんだけども。


経緯や詳細はバッサリ省くが、今回は緊急事態らしく。

”あーだこーだ”と文句を言ってる暇が無かった。

個人練習用の小型アンプと最低限のエフェクターを(まと)め、急いで支度。

兄貴の出してくれた転移陣(ゲート)で、ひとっ飛び!


海外旅行の実感なんて少しも湧かないまま、『オーストラリア入り』だ。




「・・・オーケー。大体の感じは、分かったぜ」



一番偉いっぽいエルフから渡されたBT接続のイヤホンで、その曲を聴き終え。

リピートが掛かる直前にワンタップして、『停止』。


へええぇ。

このイヤホン、結構音質が良いな。

BTナメてたよ。

サウンドチェックに使えるとまでは言わないが、普段使いなら文句無しだな。


あー、ちなみに今の曲。

詳しくは知らないけど、イヤホンじゃなくスピーカーで流すのは禁止。

大変な事になっちまうから、絶対に駄目なんだとさ。



「それで───どうなのかね。

専門家の忌憚なき意見を、お聞かせ願いたい」


「・・・うーーん」



専門家っていう表現は、こそばゆいけども。

まあ、感じたままを素直に口に出そうか。



「俺としては、《風情がある民族音楽》かな。

曲としての出来の良し悪しは、ノーコメントだ。

出自(ルーツ)の違う奴が、正しく判断できる事じゃあないし」


「ふうむ」


「だけどさ。

『あちらさん』が駄目だ、ってんなら駄目なんだろ」


「それは───」



納得がいかない顔の、偉いエルフ。


偉いってことは、年配者?

そんなに歳取ってるように見えないけどなぁ。

やっぱゲームでよくあるみたいに、老けない種族かー。



「最初の頃は、彼等も喜んでいたのに───どうしてこんな事に」


「最初って、いつさ?」


「5000年前だ」



うっはぁ。

即答するって事はアンタまさか、その当時から生きてんの??



「んじゃあ、喜ばなくなったのはいつ?」


「3000年ほど前あたりで、何となく。

そして1000年前くらいからはもう、唄ったら怒るようになったのだ」


「んんーー」



『最初は喜んでいた』。

つまり・・・飽きた?


いや、何か違う気がするな。

飽きただけでそんな怒るほど、エルフと精霊の仲が悪いわけはないだろうし。


だったら。

・・・あれ?・・・もしかすると・・・。



「なあ。エルフって寿命、どんくらいあんの?」


「我々に寿命は存在しないな。

命を途中で返上する、特殊な方法もあるが。

まあ基本的には、死ぬ要因が無ければ、ずっと生きているが?」


「精霊もそうなのか?」


「───精霊?」



きょとん、とした表情で、『長生きエルフ』が首を(かし)げた。



「いや、彼等は大体、400年ほどだ。

長くとも500年を超えることはない、と思うが」


「・・・原因、それだろ」


「え?」


「あっちはガンガン、世代交代してんじゃん。

最初は良くて次第に喜ばなくなったのは、そのせいだろ」


「ええっ??」


「《世代間の壁》、ジェネレーション・ギャップってヤツじゃね?

若い世代はそりゃ、全然違うぜ?

音楽とか食いモンとか、随分と好みが変わってきてんだろうよ。


あんたらの中にも、若いエルフはいるだろ?

例えばさ、そういう連中にとって、『この曲』はどうなの?」


「むむ───実際、どうなのだ?」



後ろを振り返ったエルフの問いにざわつく、その他大勢。


しばらく間を置き、やっと声が上がった。



「・・・まあ、その。古いっちゃ、古いですかね?」


「古いと、どういう問題があるのだ?」


「だから・・・ええと。

正直、ノれませんね・・・や、すみません、ホント!」



背の高い、耳にピアスをしたエルフが恐縮して、何度も頭を下げている。

真面目そうな感じではあるけど、履いてるのは有名ブランドのサンダルだ。

この中では精一杯、攻めてるほうなんだろうな。



「よし。

そんじゃまあ、作り直そうぜ。パパっと」



切り株に腰掛けたまま、ギターケースを引き寄せる。



「『作り直す』など、そんな無茶な!」


「だって俺、その為に呼ばれたんじゃねーの?」


「いやいや!簡単にはゆかぬぞ!?

《呪歌》とは、あらゆる法術を完全に無効化し!

その上で、我々の肉体能力を極限まで高めるという、超自然的な!」


「けど、それをやってくれてるのは、精霊だよな?」


「───!!」


「じゃあ、精霊さえ納得してくれるなら、『新曲』でもいいじゃん」


「──────」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ