表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/743

379話 危険な男 03



「・・・随分と、お疲れのようだな」


「まあねー。

疲れてるっていうか、ストレスよ、ストレス!

なんかもう、衝動的に休暇取っちゃった!」


「休んでも大丈夫なのか」


「いいよ、いいよ!

トップが休めば、下も休暇申請しやすくなるってモノよ!」



確かに、そうではある。

明らかに今思い付いたような、言い訳に聞こえるにせよ。


ちなみに、私も今回は彼女に合わせて休暇を取った。

しかし、ブレイキンとエイグラムには、少しも休みを与えてはいない。


彼等は、休みなど欲しがらない。

サボりながら働くのが好きな、そういう奇特な連中である。



「ねー、マギル。

アンタもどんどん、注文(オーダー)してよー。

あたしばっか食べてたら、恥ずかしいじゃん」


「私は要らない」


「何でさー?ケーキの2つ3つくらい、食べなさいよ。

女子の(たしな)みとして」


「甘い物はこの後、孫と一緒に食べる予定だ」


「───はあ??孫ぉ??」



・・・しまった。

我ながら、余計な事を。


気を抜き過ぎだ。

どうにもスランマールと話していると、口の滑りが良くなる。


これが『接客業のプロ』というものか。



「ちょっと、ちょっとぉ!

『子供達』に関しては、聞いてたけどさ!

アンタ、孫まで育ててんの!?」


「・・・育ててはいない。少し、面倒を見ているだけ」


「甘い物の面倒?」


「たまに作って持って行く」


「いやいや。それもう、普通に《おばあちゃん》だから!」


「・・・・・・」


「ねーねー、マギルおばあちゃん!」


「お前のような孫はいない」


「アタシも、その孫とやらに会ってみたいなー!」


「・・・・・・」


「ほら、せっかく休暇取ってきてさー。しかも、地上じゃん?

日常とは違う、素敵なサプライズとかあってもいいと思うんだけど!」


「・・・・・・」


「お願い!ちょっとだけ!

ちょっとだけでいいからー!」


「・・・・・・。

孫の教育上、品の無い行動は慎むように」


「うんうん!

勿論、分かってるって!

『マギルおばあちゃん』のお友達、って立場で紹介される訳だし。


まあ、見てなさいよ。

完璧に上品で瀟洒な、『あたし』でいくから!


地上(こっち)で言うところの、《超高級店》な感じで!」


「・・・・・・」



・・・これは、危うい。


明らかに危なっかしく、とても心配だ。

少な目に見ても46%程度の確率で、何かやらかしそうな予感がする。



けれど、それを分かっていながら、彼女の要望を受け入れたのは。



最近の私に生じた変化・・・これまで無かった感覚。


新たな『欲望』を、かなり持て余しているせいなのかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ