表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
346/742

344話 白昼怪奇 Extra 03



「お前は『学習方法』というものを、正しく理解している」



ゆっくりと《お御足》を組み直しながら、マギル講師が言う。



「私の講義とは異なるが、もしも教科書のある授業を受ける場合。

所謂(いわゆる)『予習』『復習』を、決して行ってはならない。

───その理由は、分かるな?」


「はい。

予習は、当日の学習意欲と集中力を奪う上、2回同じ事をやる分、無駄です。

そして復習に関しては。

運動と違い、思考活動における反復練習に、何のメリットもないからです。

持久力も根性も、全く向上しません。意味がありません」



・・・そう。

これ、殆どの人間が無意味な事をやっている。


特に、復習。


”憶えている?””うん、大丈夫”という、ただの確認作業に囚われて。

勉強と称し、下手すると半分くらいの時間を費やして。

それで”こんなに勉強したんだ”、と自己満足してしまう。


自分は記憶力が良くない?

だから、教科書を見直さないと?


ところがね、人間の記憶力って侮れない。

実は、憶えていないつもりでも、意外に憶えちゃってるものなのだ。


普通、掛け算の九の段を毎日呟いたりはしないでしょ?

その理由は、もう憶えているから。

『本当は憶えてしまっているもの』を、確認してはいけない。

憶える必要があるのは、『憶えていない部分』だけだ。


何度も何十度も確認作業を繰り返すのは、ただのロス。

授業が進めば進むほど、それをする部分が増えてしまう。


そんな事をやってる間に、《本物の勉強家》は楽しんでいる。

映画を観に行って。

カフェでお茶して。

授業とは関係無い書籍を読み、新しい知見を得ている。


ノートを取る際も、黒板の丸写しは絶対駄目。


『今は憶えられない部分』だけ、書く。

それを寝る前に5分くらい眺めて、憶えたら消す。


これこそが、『正しい復習方法』。



「その通りだ。それが出来る者が一般的に、《頭が良い》とされる」



あたしの解答に対し、満足気に頷くマギル講師。



「そして。そこで(とど)まるなら、一般の範疇から出られないが。

教科書も参考書も無い領域、自分だけの『勉学』へと踏み込み、進む為には。

更に2つの要素が重要となる」



真面目な表情で、講師の頭がぐるり、ぐるり。



「効率的で公正な検証方法を随時、的確に作成し続けること。

どこまでを疑い、どこからを確定真実として扱うか、の線引きだ」


「実際、あたしの時間の1/3は、検証手段の策定です」


(まさ)に。そこを疎かにすれば全てが崩れ、偽の確定真実を掴まされる。

《思考的進化》の方向は、自らが調整、決定しなけらばならない。

暗闇を切り開き、諦めることなくその努力ができる者。


私から見てカオルは、正しく理解し進んでいると言える」


「多分、ブレイキンとエイグラムも、あたしと同じタイプですよね?」



有り難い言葉を貰って、嬉しくなって。

その幸せをちょっと『お兄ちゃん's』にも分けるべく、パスを送る。



「そう、そうなのだ。

この2名は、私の配下の中でも群を抜いて優秀だ」



ブレイク達の顔が目に見えて、ぱあっ、と輝いた。



ふふ。


どうよ?

リトルシスターも、いい仕事するでしょ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ