表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
311/743

309話 悪魔のプライド 02



「ダンスとかは、どうだろう」



静寂を破った声に顔を向ければ。

ケーニヒが床に転がったペットボトルを拾い、立ち上がるところ。


おお。

やっと、ダメージから回復したか。



「これまでもランツェは、間奏中に体を動かしてはいたが。

もう少し《踊る》という事を意識して、やってみるのは?」


「ダンス、ですか?」


「ああ。だが、そんなに堅苦しいものじゃなくてだな。

事前に動きを決めたりはしないで、アドリブというか。

俺達の音と一緒になるような。

その時、その時にランツェが一番”心地良い”と思えるように動く、というか」


「お!それいいねぇ!」

「フィーリングでいこうぜ、フィーリングで!」


「───はいっ!」



うん。

中々のアイデアだな、これ。

ねーちゃんもたちまち、笑顔を取り戻したぞ。



「どうだろうか、リーダー」


「・・・いいんじゃねーかな」



訊ねてきたケーニヒに、頷いてみせる。

頭の中にイメージした、ライブ演奏。

そこにねーちゃんのダンスは、うまく融合していた。



「良かった。とりあえず何でも言ってみるもんだな」



肩をすくめ、戯けてみせるケーニヒ。


けど、適当に言ったわけじゃあないだろう、それ。

多分こいつの中にも、俺と同じイメージがあったはず。


ねーちゃんと仲いいもんな、ケーニヒは。

他のメンバーと比べても、格段に仲がいい。

普通なら、《男女の仲》を疑われるくらい。



MAXWELL(マクスウェル) Zwei(ツヴァイ)』のメンバーは、ファンと付き合ってはならない。


これは、俺が独断で決めて宣言したルールであり。

()えて言及はしないものの、メンバー間の恋愛も当然禁止だ。


ケーニヒの場合。

その仲の良さは───《合法》。

バッチリ、セーフ!


妹とか、従姉妹に対するような『家族的な愛情』に見えるし。

性的な視線や僅かな下心さえ感じない。


俺はどうしてか、そういうのが分かっちゃうんだよなー。

兄貴とマギル先生の事とか。


分かったところで、何の得があるわけでもないんだけど。



「んじゃあさー!早速『アレ』で試してみようぜ!

《From the dark side of the moon》!」


「よっしゃあ!」



エイブランがシンセの鍵盤を叩き、イントロが始まって。

俺も即座にギターのストラップを肩に掛ける。


こいつは最近マスターアップしたばかりの、新曲だ。


『ver.違い』も()っているから、シングルカットされる。

・・・というところまでは、メンバーも分かっているだろう。



だが、それだけじゃないんだぜ。



実は、『The Pain of 何とか』っていう、人気ドラマ。

秋から始まるその新Seasonで、主題歌として使われることが決定してんだよ。


ねーちゃんにしか話してないけどな、今のところは。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これ、タイトルもドラマ関係で決めたのかな、、、いや、偶然か。すごいな
[一言] ロックに、(人間の想像する)悪魔のおどろおどろしい雰囲気は合いそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ