表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
285/764

283話 知らないことは、知らないことに 09



「・・・あのね。ちょっと分からない事があるんだけれど」


「うん?

ドラゴンと砂の唄い手(オルゴール)の交配確立か?」


「・・・・・・」


「いや、そっちじゃなくて、『海エルフ』の話だよ。

外宇宙から来た存在だとしても、探したらいけない理由って何だい?

しかも・・・”死ぬ”っていうのは」


「ああ、それか。

死ぬかどうかは、実際に試してみないと不明だが。

外来種に深入りする事自体、相当な危険が予想されるからな」


「どう危険なの?」


「彼等が地球に滞在している『理由』が問題なんだ。


”たまたま立ち寄った”

”長期休暇を楽しんでいる”

”調査活動の一環”


そういうのなら、まだいい。


だがな。


”母星に居られないような犯罪を犯した”

”追っ手が掛かっていて、潜伏中”


それらが『理由』だった場合は、どうなると思う?」


「え??」


「不用意に接触し、真実に迫ろうとした場合。

彼等がその相手を、そのまま帰すわけがない。

はっきり言って、殺害するだけならまだマシなほうだ。

自分の痕跡を完全に消す為、周辺ごと破壊しないとも限らないぞ?」


「そ・・・それは・・・。

でも、私の祖先は、『海底の家』にまで招待されていたし。

『海エルフ』に限っては、かなり友好的な種族なんじゃないかな?」


「それに関しては、天使側(われわれ)の記録にも特に書かれていない。

ただ、わたしとしては少し、引っ掛かる部分がある」


「例の、『直感』かい?」


「そうだな。

冒険家は、『海底の家』にどれくらい居たのだ?」


「ええと、一泊だね。

翌日、(おか)まで連れて行ってもらったらしい」


「その間の、『海エルフ』との会話は?

家の中の様子は?

それらは手記に書かれて───いないんじゃないのか?」


「・・・あ・・・」


「故郷の森を飛び出して世界を廻るほど好奇心旺盛な、冒険家が。

『海エルフ』を前にして一晩中、無言でいただろうか。

珍しい『海底の家』で、調度品の1つも調べなかっただろうか」


「・・・・・・」


「記憶の一部を、消去されたんじゃないか?」


「そ、そんな・・・」


「溺れているところを、助けてはくれたんだ。

そのくらいで済ませてくれたのも、奴が優しい部類だからだろう。


───ただな。


それは数千年も昔の事だ。

今もそいつが同じ考えでいるかどうかは、誰にも保証しかねる」


「そう・・・だね」


「やめておけ。真実を知るには危険過ぎる相手だ。

最悪の場合、お前ごとオーストラリアが消えるぞ」


「分かったよ。

有難う、色々調べたり教えてくれて」


「まあ、わたしは優しい天使だからな」


「・・・ここで俺から1つ、提案がある」


「何だ、ヴァレスト。

ようやく立ち直ったかと思えば、急に『仕切り屋』気取りか?」


「お前、どの辺りが優しいんだ」


「それをわたしに語らせるな。

さっき言っただろう、口下手だと」


「・・・とにかく・・ええと、とにかくだ。

この世には、知らなくていい事や、知らないほうが良い事がある。


今回で言えば、『海エルフ』。

そして、『砂の唄い手(オルゴール)』。


この2つに関しては、これ以上深く考えることなく。

綺麗さっぱり、一欠片(ひとかけら)も未練を残さず忘れてしまったほうがいい」


「『砂の唄い手(オルゴール)』もか?」


「『砂の唄い手(オルゴール)』もだ。


悪魔にエルフ、そして天使。

このちょっと公に出来ない3名が、”秘密の隠れ家で話し合った”という事実。

及び、その会話の内容。


全て、この部屋から出たら忘れてしまおう。

知らなかったことにしようじゃないか。


それがいい。

それが、一番いいんだ」


「・・・うん、そうだね。そうするよ、アルヴァレスト」


「仕方無い、忘れてやるとするか。

そうしなければこの男、今にも泣き出しそうだ」


「お前のせいだよ!

その口から出る言葉の1つ1つが、俺の繊細な心を傷付けるんだよ!

この目から涙という名の悲しみが零れ落ちたなら!

それは間違い無く、100パーセントお前の責任だよ!」


「では、解散だ。

転移陣(ゲート)を開け、ヴァレスト」


「一言くらい謝れよ!!

お前の心臓、鉄で出来てんのか!?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ