表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/766

279話 知らないことは、知らないことに 05



「まあ旅行するにしても、オーストラリアは()しておけ。

あそこは今、『激戦地帯』だぞ」


「それは知っているよ。けれど、同族に会う為じゃないし」


「だったら何が目的だ。コアラなら、思ったほどいないぞ」


「コアラよりもっと、珍しいものさ」



ストロベリーパフェのホイップクリームを(すく)いつつ。

何故か少し得意気に、男が目を細める。



「私はね・・・『海エルフ』を探しに行くんだよ」


「『海エルフ』??───何だ、それは」


「ええとね。

私の家系を(さかのぼ)ると、大分前なんだけど有名な冒険家がいてね」


「エルフの冒険家?」


「そう。自称・冒険家。

ただ、当時は今より更に閉鎖的だったから、皆からは変わり者扱いで。

その彼が残した手記の中に」


「ちょっと待った」


「え?何だい?」


「───どうも引っ掛かるな」


「あのね。まだ何も肝心な事を話していないんだけど?」


「いいや。こういう直感は結構、当たるんだ」


「だから、何がだい」


「───その『冒険家』は、結婚してたのか?」


「うん、していたよ」


「───妻が実家に帰ったりしなかったか?」


「・・・・・・」


「どうした」


「・・・そういう記述も・・・まあ、あったね・・・」


「───やはり、血は争えないか」


「さも知ったように私の家系を語るの、やめてくれない!?」


「語るも何も。これは明らかに、『遺伝性の疾患』だろう」


「・・・え??」


起源(はじまり)何処(どこ)からだったかは、分からないが。

少なくともその冒険家の遺伝子には、『それ』が含まれていた。

おそらくは男子のみが発症する、『X連鎖潜性遺伝』の典型的な例だな」


「・・・・・・」


「という事は、だ。

『それ』を仮に『r』とすると、お前の両親は共に潜在的な因子持ち(ホルダー)で。

男子であるお前に両方が揃って『rr』となり、(くだん)の遺伝特性が発現。

お前が成長し、結婚し、何らかの条件を満たした瞬間。


───妻が実家に帰る。


そういうわけだ」


「・・・何で肝心な部分が力技なの?最後まで頑張ろうよ」


「冒険家の妻は、戻って来なかったのか?」


「え?」


「離婚したのか?」


「いや、結局は仲直りというか、一緒に暮らしたらしいけど?」


「だったら、お前もそうなるだろう。心配するな」


「・・・え??」


「血は争えないからな」


「・・・・・・これは驚いた・・・そういう考え方も、あるのか。

うん・・・ありだよね・・・」


「ただし、『家庭内別居』というのも」


「どうして余計な事を言うかな、君は!?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ