257話 危険な宿題 01
【危険な宿題】
「・・・これ、凄い。ふかふかだ」
応接室のソファに腰掛けるなり、目を丸くする少女。
「キシキシゆわないし、革がやわらかい。高級品」
「そりゃあ、来客用だからな。
それプラス、俺の日常生活用でもあるが」
「にちじょう生活?」
「ああ。俺は大体、ここで新聞を読むか、のんびりしてる」
「一日じゅう?」
「一日中だな」
「仕事は?」
「他の連中がやるから、問題無いんだよ」
「おまえ、駄目なやつだ」
「駄目って言うな」
「わたしと、おんなじ」
「だったら尚更言うな」
向かいに座る少女───リーシェンは、かなり高位の悪魔。
降格前の俺ほどじゃないが、結構上のほうな位階だ。
先日『ちょっと揉めた』連中の、トップらしい。
本来、他所の悪魔をアジトに入れるなんてのは、避けるべきなのだが。
まあ、来てしまったものは仕方が無い。
真っ正面から玄関のインターホンを鳴らされたら、入れてやるしかないだろ。
たまたま対応したのが俺だった、というのもあるが。
「・・・そろそろ、本題をゆう」
マギルの出してくれたモンブランを、追加で5個も平らげ。
お代わりのコーヒーに大量のミルクを入れながら、リーシェンが言った。
「ふこうなトラブルがあったけど。これからは、なかよくしたい」
「そうだな。こちらとしても、そう出来たら一安心だ」
この一件、事後報告で聞かされた時には驚いたけどな!
まったく。
殴り込みとか、うちは『犯罪組織』じゃないんだぞ。
やめてくれよ、頼むから。
「じゃあ、仲直りのあくしゅ、しよう」
「おう。それはいいアイデアだ。
トップ同士が手を取り合えば、後は自然と上手くいくもんだしな」
差し出された小さな手を、握り返す。
ぶんぶん、と上下に振る。
そして。
───何だ?
───握り締めたまま、離してくれないんだが??
「おい」
「・・・」
「離せって。おい」
「・・・」
ん?
握られた手から、震えが伝わってきたぞ?
見ればリーシェンは、ひどく苦々しげに顔をしかめている。
「どうした?何だってんだ?」
「・・・おまえ、ろりこんじゃないな。なにものだ」
「そりゃ『ロリコン以外』だよ。
というか、紳士だ。真っ当な意味での」
「・・・感じわるっ・・・」
「ああ!?仲直りしに来たんじゃなかったのか、お前は!」
その純真ぽい見た目で、舌打ちなんかするなよ!
もっとこう、イメージを大切にしろ!
イメージを!




