表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/738

140話 第一級・指名手配 02



外見(そと)は年代(モン)だったが、内側(なか)は結構、手を入れてんなぁ。

すでに『オール電化』済み───じゃあ次は、セントラルヒーティングだな。

どうだい?ここで一発、ドカンとリフォームしてみるってのは?

ウチの会社は、安くてアフターサービスも完璧だぜ?」



入ってくるなり、ぐるりと室内を見渡し。

『スーツ姿の男』は砕けた口調で、且つ淀み無くまくし立てた。



「・・・俺を前にして第一声が、それか?」


「営業なんだから、仕方無いだろ。これでも一応、驚いてはいるんだぜ?

俺みたいな『いい男』が、もう1人存在するとはなぁ!」


「それは、こっちの台詞(セリフ)だ」


「まあ、立ち話もなんだし。座ってゆっくり話そうぜ?」



止める間も無く、ずかずかと応接室に入ってゆき。

深々とソファに腰を沈めやがった。



「おい・・・お前、どんだけ態度デカいんだよ」


「おっと、灰皿あるじゃねぇか!一服やらせてもらうぜ」


「・・・・・・」



くそっ!

先手が取れねぇ!


なんて図々しい奴なんだ!


流れるような動作でタバコを取り出し、火を付ける男。

妙な対抗心が湧いてきて、向かいに座った俺もタバコをくわえる。



「へえ。いいライター使ってるな、アンタ」


「じゃあ、お前も買ったらどうだ」


「そりゃ駄目だ。客より高価なモンを持つのは、営業失格さ」


「客の前で吸うのは、失格じゃないのか?」


「せっかく、デカい灰皿があるんだ。堅い事を言うなよ」




悠然と煙を吐く男のスーツは確かに、高級品ではない。

だが、そのセレクトと着こなしには、(うな)らされるものがある。


タバコの銘柄は、昨年まで俺が愛飲していた物。

アレは、今も時々買ってしまうほど美味い。




(こいつ・・・『互角』か・・・)




俺の中で。

男の誇り(プライド)を賭けた戦いが、始まろうとしていた───



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ