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138話 再会Ⅱ 05



「お前、やたらと『上』の内情に詳しいな?」


「そりゃもう!だって、『脚の引っ張り合い』に付き合わされてますからぁ」


「は??」


「『情報戦』ですよぉ。

”使えるネタを抜いてこい”、”使えそうなネタをバラ撒いてこい”。

そういう依頼が、ガンガン来るんですよねぇ」


「それって、お前の命も危なくなるんじゃないか?」


「どこで何してたって、自分を守るのは当たり前の事なんでぇ。

『戦争屋』にとっちゃ、日常ですよぉ。

それよりもぉ。

あたしが誰かに雇われてると疑ってても、更に雇ってくるとかぁ。

ドロっドロの世界ですよねぇ!げひゃひゃひゃ!」




ハイスクールの頃と同じ、奇怪な笑い声を上げ。

変わり者の後輩が立ち上がり、ぐい、と背を伸ばす。




「さて、とぉ!愉快なお話は、これくらいにしてぇ。

一応、『合格』にしときましたよぉ!」


「すまない!助かる!」


「じゃあ、帰りますかねぇ!秘匿部隊(ひよっこども)の待つ、ヴァチカンへ!」


「ああ、もう仕事は終わったのか?」


「今、終わったじゃないですかぁ。もっとやりたいんですぅ?」


「やりたくない。僕の『講習』じゃなくて、出張で来たほうの仕事だよ」


「だぁかぁらぁ!終わったじゃないですか、今ぁ」



「・・・・・・」



「どうしたんですぅ?」


「・・・ミリアン」


「はいぃ?」


「お前、何でベルギーに来た?」


「何で、ってそりゃぁ。

”現地で格闘講習を受けたがってるのがいるから、行ってこい”、ってぇ」


「指名されたのか?」


「そう!そうなんですよぉ!

手が空いてる教官なら、他にもいたんですけどねぇ。

”君じゃなきゃ駄目なんだ!頼む、頼むから!”、って局長が頭を下げるんでぇ」


「・・・・・・」


「まあ急な話ですけど、たまには目新しい獲物を甚振(いたぶ)るのもいいかな、とぉ。

え、ちょっと、どうしたんですかぁ、先輩ぃ?」




「・・・や り や がっ た な・・・」


「??」




「あんの豚野郎ッ!!

やってくれやがったなああぁッ!!!」


「うわぁ!顔、コワっ!!」


催涙(ガス)グレネードよこせッ!!同郷のよしみでッ!!」


「いいですけどぉ。

先輩って、ドMなんですかぁ?」


「ちょっ、ちがっ、げえッふぉ!!げえッふぉ!!」



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