116話 合法的な魔法使い 07
”今回は、本当に世話になったね。有難う”
「あー、いいって、いいって!どうよ、あれからカオルちゃんは?」
”『問題なのは、位階じゃない』。
『遊び半分じゃなく、本気で魔法をやる』、と言ってね”
「遊び半分で、魔法使いになっちまったのかよ。凄いな」
”急に、将棋をやり始めた”
「・・・ショーギ?」
”日本版の、チェスみたいなものだよ。近くの集会所で、毎日4時間やってる”
「ふうむ。とりあえず、無鉄砲な事はやらない感じか?」
”そうだね。心底、ほっとしたよ。
ただ、『講座』に毎月参加出来る事になったらしいけれど、良いのかい?”
「ああ、マギルから聞いてるぜ。物凄い熱意で、頼み込んだらしいな。
『特別聴講生』として、別室からの受講を認める、だそうだ」
”助かるよ。受講料の事も、カオルに話しておいたから。期待しておいてくれ”
「おう。楽しみに待ってるよ。じゃあな!」
電話を切り、コーヒーカップに口を付ける。
ぐい、と背を伸ばしていると、外から聞こえるエンジン音。
早速、来た来た!中型トレーラー!
今月分の食料が、到着だ!
講座の受講料は、
払うに値すると思った内の、
実際に払っても支障が出ない量を、
『契約点数』以外で、
支払う事になっている。
そうしておけば、トラブルに巻き込まれずに済む。
・・・という、マギルの発案。
その結果、毎月。
講座の翌日からしばらくは、でっかい冷凍車や保冷車がやって来て。
野菜や肉、魚介類に果物と、一流ホテル顔負けの『最高級食材』が届くわけだ。
───さてと。ボルコー達を呼んで、運び込むとするか!
───マツサカビーフとか、あるといいな!




