第4話 図書館と魔法
図書館に辿り着いた。
図書館といっても、蔵書数はそこまで多くない。
そもそも、僕がこの街で知っている図書館はここしかないし、本についてもあまり見かけた事がない。
ゆっくりと横歩きをしながら、幽霊の伝承に関連した本を探してみる。
目についたもののタイトルを頭の中で反芻する。
8人の騎士、時計台を綺麗に保つべき300の理由、魔法入門....。
うーん、それらしい本は無さそうだなぁ。
だとしたら、これはチャンスかもしれない。
黒い幽霊の伝承なんて本を纏めたら、結構人気が出ちゃうのかもな。
なんて事を考え、ちょっとニヤッとする。
とにかく、幽霊についての本は無く。
しかし、折角図書館に来たのに、何も読まないのはもったいないだろうと、さっき見た魔法入門を手に取って、読んでみる。
僕はまだまだ魔法について勉強中だから、定期的に知識を補充しないとね。
実は、魔法に関してはリーシャが天才的なんだ。
リーシャはすごい。
この世界には、基本的な火属性だったり、水属性だったり、変わり種でいうと光や闇の属性なんていうのもあるんだけど、リーシャはどの属性の魔法もとんでもないのが出せる。
おまけに魔法というのは、どんなに弱いものでもある程度は疲れるはずなんだけど、リーシャは表情ひとつ変えず魔法を使い続けることができる。
いやぁリーシャってすごいよなぁ、と思いつつ魔法入門をペラペラとめくる。
ある部分が目についた。
あーこれだったら、いくらリーシャでも使わないだろうな。
どの魔法書にも載っているが、その詳細は決して明らかにされていない。
そんなアンタッチャブルな魔法がある。
その名前は禁呪。
かなりストレートな名前だ。
あまりにも強力でおぞましい物とされている。まぁ御伽噺のような物で理論上は可能かもしれませんねくらいのものだ。
さて、ここからが禁呪の禁呪たる所以だが、この呪文は、その強力な効果の代償として人の命を使う。
いやぁ、怖い魔法だ。鳥肌が立ってきてしまった。そんなに怯える必要もないのに、怯えてしまう。
あぁ、なんだか早く帰りたくなってきちゃった。
今日はもうちょっとだけあたりを散策して、さっさと家に帰ろう。
僕は図書館を急ぎ足で去った。