お高そうなスケッチブックと正常に働く目。
文に変なところがあるかもしれません。
見つけ次第直していきます。
聖女美麗。
この私立宴来学園高等部で「聖女様」と呼ばれている、美の塊。
そんな彼女が降臨する、放課後の美術室に入った俺こと墨守氷は、彼女の寝顔を見てしまった挙句、その下に敷かれていた禁忌を覗き見てしまったのだった……。
彼女の麗しき寝顔の下にあったのは、なんら変哲のないただのスケッチブックだった。
強いて言うならそれはすごく高級そうなスケッチブックで、まさしく大財閥のお嬢様である彼女にふさわしいものだった。
スケッチブックに問題があるわけではない。
中身だ。
中身が問題なのだ。
この学園の中等部に編入する際、妹から「兄上の素の顔を見たら女子の目が潰されるからダメ!」と言ってかけられた伊達メガネを一回外す。というか素の顔を見たら目が潰れるって、そこまで醜いのか俺の顔。うーむ。今度もう少しかっこよさとやらを研究してみることにしよう。
そして、伊達メガネを外してもやはり中身は変わらない。
もう一度かける。
変わらない。
外す。
変わらない。
まじか。
どうやら俺の目は大丈夫だったようだ。
さて、中身である。
俺の目は大丈夫みたいだから、間違いはないと思う。
ボーイズラブ。
通称BL。
腐女子が三度の飯よりも好むという、あれである。
妹が前に友人に借りて読んでいたのでちらっとのぞいてみたが、よく分からなかった。
ぶっちゃけ青春ものだろとか思った。
しかしここに描かれているのはもっと過激でスゴイヤツだ。
正直凝視したら男でも鼻血出そうなレベルの。
聖女様の天才的画力も相まって、威力が半端ない。
……見なかったことにしたほうがいいと俺の灰色の脳細胞が言っている。
そっと後ずさって帰ろうと思ったら、後ろにあった机に思いっきりぶつかった。そしてバランスを崩して後ろに倒れそうになったが、間一髪、メガネが落ちただけで済んだ。
ヒュッと息を呑む音。
目の前には聖女様の恐怖と焦りの浮かんだ麗しき青白いお顔。
目と目が合う。
さようなら妹よ。
どうやら俺は、お空へ上がっていくようです。
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