聖女様。
前の作品もろくに投稿してないくせに次の作品を始めてしまいました。
よろしくお願いします。
文におかしいところがあるかもしれませんが見つけた時は温かい目でスルーしてやってください。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花ーーー
そんな言葉を人間にしたようなひとが、うちのクラスにいる。
私立宴来学園高等部生徒会長、2年E組、聖女美麗。
名は体を表すのごとく神々しく美しい、清楚系女子だ。
容姿端麗、文武両道、将来有望な大財閥のお嬢様。
常に凛々しく、繊細なようで強者の風格のあるその姿。
学園の生徒たちからは憧れと尊敬を込めて、「聖女様」と呼ばれている。
もうそれはそれはぴったりなので、彼女の名字を聖女にした人を褒め称えたいとまで言われている。
そんな聖女様に、この特に目立っているわけでもないはずの俺……墨守氷が、あんな形で関わることになるなんて、誰が想像しただろうか………。
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梅雨。
放課後。
俺は美術の先生に会いに美術準備室へ向かっていた。授業で作っていた作品の提出が遅れたせいだ。
美術準備室は美術室の中を通らないと入れない作りになっているので、美術室には絶対に一度足を踏み入れなければならない。
それがどうしたであるが、それが一番足がすくむ原因なのだ。
放課後の美術室。
彼女は毎日そこにいる。
イーゼルに立てかけられたキャンバスに絵を描く姿は、まさしく聖女のようなのだとか。
しかし、放課後の美術室の彼女には様々な噂がある。
彼女が集中しているところに入った男子生徒が眼光で射殺されそうになったとか、少し近寄った瞬間に迫力のある笑みで追い出された女子生徒がいたとか。
放課後の美術室に入る時の掟は一つ。
「必ずノックをするべし。」
なにがあっても、命が惜しいならそれだけは守らなくてはならない。
絶対的な教えだ。
さて、問題の扉の前に到着したわけだが。
思い切ってノックをしても返事がない。入ってもいいのだろうか。
かといって彼女が出てくるまでこの扉の前にいるわけにもいかない。
「し、失礼します……」
案の定、彼女は返事ができる状況ではなかった。
それはもう聖なるお顔で、スヤスヤと机に突っ伏して眠っていたのだから。
隣には描きかけの絵と絵の具の乗ったパレット。
おそらく絵を描いていた時に寝落ちしてしまったのだろう。
もちろん俺はそんな寝顔を写真におさめるような命知らずではない。
しかし。
そんな彼女に近寄る命知らずではあったようだ。
何を血迷ったのだろう俺。
しかし歩みは止まらない。
何かとてつもない引力が働いている。
そして聖女様の隣に来た時。
俺の目は、聖女様の聖なる寝顔の下にあるモノを、確かに見てしまった。
読んでいただきありがとうございました。
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