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3、こんどはどこ?

お粥を食べて、侍女から話しも聞いてお腹いっぱいの私は気がつけばハンのベッドで寝てしまっていた。


夢では前世の私が病院のベッドで寝ている。

私の病気は幼い頃から患っていた病気のせいでベッドで過ごす事が多かった。

なんとか大学生になれたけど人生の大半は病院で過ごし、楽しい事なんかほとんどなかった。

運動も恋もこの病気の為に我慢しなくてはいけなかった。

そんな自分をじっと眺めていると、運命の時がやってくる。


モニター画面には心拍数が180とかなり高く表示され、私の呼吸は浅くハッハッハッと息が吸えない出せないが続く。

ベッドの周りには家族が集まり

ありがとうとか、もう頑張らなくていいからとか言うからもう死ぬんだって天井を見上げながら思った。

頑張らなくていいと言われてこの苦しみから解放されるという思いが涙に変わる。

モニターの画面は心拍数40、20と徐々に下がっていき私は天国に旅立ったーーー


部屋の入り口のほうからボソボソと話しをする声で目を覚ます。

「ハン様のお名前や自分は誰か等聞かれました。」

「そうか。お粥の他に何か食べたか?」

「いえ、そのあとはずっとベッドで休まれております。」

「わかった、下がれ。」

「はい。」


裏切りだよ!絶対秘密って約束したやん!

こちらにハンが来る気配がして寝たふりをする。

ギシッとベッドの足元に座ると私が涙しているのに気がつき、指で涙を拭う。


「あ、おはようございます。」


涙を拭われ起きたフリをして目を開ける。


「お前は昔からよく眠るな。」


この身体の持ち主ミリスさんの記憶は一切ありませんがそうなんですね。


「テヘッ」


私がとぼけると怪訝そうな顔をして言葉を詰まらせるハン。


「夕飯前に少し散歩でもしないか?」


朝から晩まで寝ていた事にビックリしたけど、数日前まで生死をさまよっていたし、その後はどうやら転生してるし、身体が休もうって反応してそうなったのかなって思う事にした。


「はい。」


「着替える。」


「どうぞ。」


まてまてまてーい!目の前で着替えるんかーい!

ハンが全裸になる前に布団をかぶりやり過ごす。


「お前のその、乙女のような反応はなんだ?」


乙女ですもの!布団から少しだけ顔を出してハンを睨み付けた。


「、、、行くぞ、これを羽織れ。」


ラフな服に着替えたハンは私に上着を放ると歩き出した。


「ま、まって!」


「フッ」


入り口で振り向き様に柔らかい笑顔を私に向ける。


不意討ちにドキッとしてしまったのは言うまでもない。





ーーーーー



ハンと歩いているとこの部屋が宿舎にあると分かる。

あまり行き交う者はいないが、たまに行き交うと皆が驚いた表情をする。


「、、、気にするな。」


いやいや、気になって仕方ないです!


「、、、。」


少し歩くと噴水のある広場に到着した。


「こっちに行くと竜騎士の宿舎に行ける。あっちは地上騎士の宿舎で、、、、」


「なんでそんな事わざわざ言うんだ?」


記憶がない事を試されているような気がして、ミリスになりきって返事する。


「いや、、、」


ハンは口数が少ないから何を考えているのかわからない。注意しないといけないなと頭が警告する。


ハンが噴水の近くの椅子に腰かける。私もその横に腰かける。


「寒くないか?」


「少し。」


「これも羽織れ。」


と、自分が着ていた上着を脱ぎ私に着せる。


「いや、ハンが寒いだろっ!」


うろたえる私を見てフッと笑うと、気にするなと私をじっくり見つめる。


なにこれ、なにこれ、甘い空気が漂っておりますが!もしやBLゲームか何かの世界に転生したのですか?これはそのイベントの一つですね!

っー事は、今から劇的な何かが起こるはずですよね?

転生したばかりの私にそのミッションはきついですっ!


恥ずかしくて私から目を反らしてしまう。

直ぐに顔をグイッと戻され夕日に照らされたハンがとっても切ない顔で私を見る。


「もう、こうして話す事なんてできないと思っていた。」


シャツから見えるハンの筋肉が夕日で透けてかなりセクシーです。


「やっ、」


ハンを振り払い今度は身体ごと反らす。

後ろからギュッと抱きしめられ、


「その乙女のような反応はなんなんだ?」


やーだー!マジなんなの!?恥ずかしくて即倒するから!

なんで抱き締めるわけ?

男と男だよ?

マジわけがわかんない!

てか、ミリスに言いたい!

ハンをこんなにするまで焦らすなんて何て言う悪魔なの!


、、、でもありがとうとも言いたい。

そのお陰で恋を知らない私がこの恩恵を受けられるのだから。


「戻るか?」


「はい。」


たった数十分の散歩だった。


だけど、多分ハンの中ではかなり内容の濃い散歩だったに違いない。


ハンの部屋に戻ると二人分の夕食が用意されていたのだけれどかなり気になる事がある。


さっきからずっと笑顔、笑顔、笑顔!気持ち悪いくらい笑顔。


「ハン、大丈夫?」


「何がだ?」


「え、だって、、、」


ずっと笑顔じゃん。


とは言えず、、、、


「これも食べるか?」


と、何か勘違いしたハンは自分の皿まで差し出す始末で。


「ちゃんと食べようよ!」


夕飯は私ばかり食べていて結局、ハンはサラダくらいしか手をつけずに終わった。


「風呂に入ってくるから先に寝ていてくれ。」


夕食後ハンに言われてベッドに向かう。

この世界にはテレビとか娯楽はないのかな?

凄く暇なんですけど。


てか、私はいつまでここに居ていいのかな?

邪魔じゃないのかな?


シャワールームからシャワーの止まる音がしてバッと布団に潜る。

すぐにシャワールームから出てきたハンが布団に横たわる。


えっ、えーーーー!


まさか一緒に寝るの!?

あんたびちょびちょやん!?


ガバッと起き出し


「ちょ、びちょびちょで風邪ひくーーー」


驚き顔のハンは全裸でびちょびちょで。


「うわぁ、ちょ、隠してよ!」


フッと笑ってまた私を抱き締め、そのままハンは寝てしまったようで寝息が聞こえる。


なぜだ、ミリス男の癖にハンの腕が振りほどけぬ~


ジタバタしても振りほどけない程の力で抱き締められています。









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