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今日から学校と仕事、始まります。②莞

手紙→→→LINE

作者: 孤独

女子はノートの切れ端に、今日の気持ちを書いて。

退屈な授業の合間に、2つ離れた男子にこの紙を飛ばしたり、リレーのように回して伝える思い。


『次の美術、一緒にやろう』


深いメッセージより、近くにいられるメッセージ。

可愛らしい狸のゆるキャラに、噴出し乗せて、言わせるメッセージ。

席の前にいる友達に声出さず、【あいつに渡して】って、秘密裏のお願いを可愛い顔と恥ずかしがる顔で、お願いする。分かってくれる友達は、ちゃんと【美咲から】って小声で、誰からのメッセージも教える。

そんなやり取り、周りだって気付いている。つまらない国語を教えている先生だって、気付いている。そりゃたまに怒るけど、……。あんな馬鹿な事をやったものだ。

寝ている人や騒がす連中よりもマシに思う。いずれは後者になりそうで、その直前で怒鳴るか。


ちょっと前くらいの事。

それでも、それは携帯を持ち込めない時代ぐらいだろうか。



◇        ◇



時代は進めば、みんなが小型通信端末を持つ事もあった。

あの槌谷美咲の、甘い青春もあったもんだ。自分が思っていたつまらない授業を、今は生徒達にしている現在。最近の子達は明るいが、表情が俯いている。前を見ていない。授業の事じゃない。

誰だって言葉を騒ぎにもさせずに送れるから、いかにバレないように秘密を共有されようとする。それがちょっと息苦しいというか、曇らせること。声で伝えろって、迷惑も考えずにじゃないけど。



授業なんてそっちのけで、恋愛をやってみた事もあったな。

今は塾だったり、通信教育が発達して、単純な知識量は今の子達のが凄いものだ。


「こらー!お前等、LINEや漫画を見てるのは構わないけど!」


しかし、秘密にしたい事を秘密にしたがるのは、いかがなものか。コミュニケーション能力や共存するという、知識以外はどうなんだろうか。

【あれ、美咲とあいつって付き合ってんの?】

【ねぇー、あいつと彼女になって、ホントー?】

とか、周囲の煽りっぽい応援。あるいは毒のある声が、周知されて惹かれたり、離れたりもできる。そんな事で人を見る判断力が養われる。1人1人に良いところがあって、悪いところがある。文字や声、容姿というのは、事実を伝えたり見せたりするのは適しているが、それだけが全てじゃない。

まだ結婚をしていない、槌谷美咲はそう思っている。


「もうちょっと楽しい顔して見ろ!」


ふいに思った。たぶん、これは槌谷美咲の個人的な弁。

教師としてではなく、大人1人の声。


「私や周りに気を遣ってやる言葉のやり取りでは、相手の事は分からないものだ。私に怒られたくないからって、ギャグ漫画を口結んで堪えて読む男子A。恋愛漫画に涙なしで読む女子A。エロ動画見ていて、股間が熱くなってる、男子B~D!」


ドキッて反応してる男子多数。

その反応を察知する、男子は馬鹿って思う女子少数。


「今から心を押し殺す事になると、大人になると暴発しちゃうぞ。感情のコントロールは知識を取り込む事だけでは身につかないぞ」

「………はい」

「別に返事は要らなかったが……。今のお前達には塾とかもあるんだろうし、他で勉強はできてるだろう。寝ていてもいいよ。授業態度も大目に見てやれるが、少しはやりたい事を楽しくやれ。ただバカ騒ぎは止めろ」


少々、話しが脱線してしまった。

色々な取り込まれた時代の流れで、自分達の当たり前も変わってきている。それを否定してはおばさんと思われるところもある。意外と傷付く。


「まったく」


いつもいつも思わせる。

今の子達の恋愛は、どーなってるんだ。教師は一線を越えないよう見守れというが、これでは介入が難しい。ハイテクになり過ぎて、教師もハイテクに通じなければならないのは大変だ。

もっと先になれば教師の授業なんて、動画を垂れ流しになるんじゃないか。



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