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異世界生活始めませんか?  作者: 観月 透
第1章 始まりの始まり
9/10

8 『二度目の邂逅』

ようやく書きたかった部分に到達できました!いつもよりかなり長くなってしまいましたが気合い入れて書いたんで是非とも最後までお読み下さい!


――せい!―――一誠!


声が聞こえる。誰だ俺を呼ぶのは、死んだ俺に声をかけてくる奴なんていない筈だろう。

ん、待てよ、死んだ......?

痛みなんて全く感じなかったし、何処にも触れられていない筈だ。


――起きてよ、ねえ!死なないで!!


まただ、いやこの声には覚えがある突然現れ居候と化したフランの声だ。


「うぅ、あ、フランか」

「よかった、よかったよ起きてくれて!起きたら一誠が倒れてるんだもん!心配したんだからね」


いつからこんなヒロインキャラに変身したのかは知らないがベッドで休んでいられたのは彼女の計らいだろう。正直ありがたかった。


「ああ、助かったよ。ありがとうな」

「本当に起きたら人が倒れてるなんて心臓に悪いなんてレベルじゃないんだから!で、何があったか話してよ」

「い、いやそれは......」


俺の読書経験によると特殊能力について人に話すと禁忌に触れ罰が与えられるというのが、

セオリーだ。特別な感情はないにしろこれ以上の苦しみは味わいたくない。

だがこいつは一応異世界から来たんだった、何か知っているかもしれない。もし罰があるなら俺だけにしてくれ。そう願い真実を話すことにした。


「――と、いうわけなんだ」

結局禁忌に値しなかったのかフランに終始先程の出来事を話しても何も影響はなかった。


「なるほど、つまり一誠はその二人組に殺されたってわけなんだよね?」

「ああ、確実にしんだのかどうかは分からないがまず無事ではなかっただろうな。

で、目が覚めるとベッドで泣きながら俺を呼ぶ声が聞こえてたってわけ」


駅で通り魔と、対峙したのがおおよそ夕方だっただろう。そして今は朝日が部屋に差し込んでいる。つまり俺はループの渦中にいる。しかしトリガーが分からない、殺されたのなら絶対痛みが生じるはずだ。


――何故戻ってきてしまったんだ。


「でも何で危ない場所って分かっていたのに向かっていったの......バカだから?」

「悩んででた結果がそれかよ!? 香澄がいないか確認しようとしたからだよ、でも......遅かった」

「なるほど、じゃあ一誠がしなくちゃいけないことは一つだよね?」

「ああ、急いで香澄と合流しよう。――お前も来るのか?」

「当たり前でしょ、一誠の話では二人もいたんだから一人でどうにかできるわけないじゃ

ない、それに私だって一応戦えるんだから!一誠が興奮しちゃいけないと思って黙っていたけど魔法も使えるんだから!


なに、こいつ魔法が使えたのか。――是非とも見てみたい。


「ああ、助力してくれるのは助かるよ」

「それなら早速香澄ちゃんとの待ち合わせ場所にレッツゴー!」


意外にも理解の早いフランを連れて早速三度目の待ち合わせ場所に向かった。



――もう、遅いよ!

プリプリと可愛らしく怒る香澄を宥め今回は通り魔のいた駅の構内で食事を取ることにした。


香澄と、おまけのフランがいたとはいえ充実した時間を過ごしそろそろあの二人組の来る時間だ。そう思いながらお手洗いに行き店の奥の四人掛けテーブルへと戻ろうとしたとき


「おっと、すまないね少年」

「何してんのさキール、ほらお財布!ごめんねうちのキールは本当に無駄に大きいからね」


――ぁ、こいつらだ。前ホームで残忍極まりない殺戮を行ったのは。真っ黒のロングコート

に大小の二人組。間違いない。

「あ、ありがとうございます......」

「うんうん、大丈夫だよ。それにお兄さんとは運命的な感じがするからね」

「無駄話はそれほどにしておけ、ジャック。では失礼したな少年」

「ごめーん!よしそれじゃあまたね!そこのお姉さんも!」


そう言い残し二人は店から出て行った。

――お姉さん?

とにかくあいつらをここから退けねばならない。だから早く。


「ふーん、あいつらね例の通り魔ってのは」

「うわ!びっくりした。いつからそこにいたんだよ。それよりお前あいつらに見られていた

ぞ、なんでだ?」

「うーんと、簡単に言うとあいつらも異世界人ってことだね」


――は。なんだよそれ、いや、でもそうだとしたら全て辻褄が合う。俺に気づき襲ってきたこと、尋常じゃない人数の殺害。駅員達があいつらの存在に気付かなかったこと。


「お前どうだ、あいつらに対抗できるか」

「あったり前でしょ!この私に任せなさい!」


どこからその自信がでてくるのかは知らないが一人じゃないだけいいだろう。


「ねえ一誠、さっき話していた人知り合い?」

「――ぇ、さっきってどの人だよ」

「何言ってるの、背の高い人と小さい子供の二人組に決まってるじゃない」


何で香澄に見えているんだ、彼女は異世界とは何も関係がないはずだ。いや、だから香澄もあの時......


「ああ、さっきの人はぶつかっちゃって財布を拾ってもらっただけだよ」

「そう、ならいいけど。あの人たち怪しさ全開だったよね」


そう彼女は笑っているがこの状況は笑えない。姿が見えたってことはあいつらに必然的に

狙われることを意味する。


「香澄、今日はそろそろ帰らないか?もう寒くなってきたし」

「えー、もうちょっと居たかったのにな。でも寒いのは嫌だからそうしよっか!でもまたすぐデートするって約束だからね!」


香澄のとなりでフランがにやにや笑っているが「わかったよ」とそう伝えようとしたがそれは一筋の断末魔によりかき消された。


「なに、今の!駅のホームからだよね!」

「ああそうだ、だから絶対ここらか動くなよ、絶対だぞ」


俺の雰囲気が一変したのを察知したのか「うん」と弱々しく言った香澄を残し意思の疎通無しで状況を把握したフランが俺より先に一目散に駆け出していく。それに続き俺もホームへ向かった。


僅かに遅れたか、すでにホームには夥しい量の血痕があちこちにありその上に小柄な少年が楽しそうに踊っている。


「――ジャック!」

「おやおや?さっきのお兄さんじゃないか、やっぱり僕たちはこうして出会う運命だったんだね!」

「お前となんか二度と会いたくなんかないさ、こんなことをしてくれやがって絶対に許さないからな!」


刹那その小柄は俺の足元に入り込み、易々と自身の倍はあるだろう俺の体を吹き飛ばした。


「っぐぁ......痛え」

「お兄さんってばあれだけ僕に啖呵きっておいてそれじゃあまったく興醒めだよ」


ジャックが俺の目の前で凶悪な笑みを見せそういった瞬間


「お前、一誠になにするのよ!そこから離れて!――ライトニング!!」


俺が吹き飛ばされたのを見ていたフランはすぐに危機を察知し俺を守るため魔法を詠唱し彼女の指先から一筋の雷光が発せられ一直線にジャックに襲い掛かった。


フランの叫びを聞き流し俺を見下し笑っていたジャックは一瞬屈伸の動きをした。その瞬間フランの放った雷光が頭上を通過したことで魔法は回避された。


「ねぇ、お姉さん僕は今このお兄ちゃんと話してるんだから邪魔しないでよ。人の会話に横槍を入れるなんて常識外でしょ?でもお姉さんのほうが殺し甲斐がありそうだから相手してあげるよ」


「一誠隠れて!こいつは私が始末するから!」


突然の出来事に思考が追い付かないが吹き飛ばされた衝撃で痛む体を無理やり動かし戦況の見える位置に移動した。


「そうえばお兄さん何か忘れてない?」


なにもおかしなことはない筈だ、これ以上の殺戮を止めるためにフランがジャック一人相手に奮闘してくれている。――一人?


「ようやく気付いたようだね、階下にいる僕たちを認識した少女は今頃どうなっているん

だろうね。したにはキールがいるってのに」


まずい。まずいまずい。まずいまずいまずいまずいまずいまずい


香澄が危ない、あれだけ動くなって言ったのに!


「なに余所見してるのよ! ライトニングセーバー!!」

「おっと雷光の剣か、それじゃ僕も真面目にしないとね。負けたら怒られちゃう」


フランとジャックの剣舞が一層激しさを増し呆然としてしまった。


――俺になにができる。俺なんかに......


「何してるの一誠!早く行って!あの子が大事なんでしょう、私もすぐ行くから!!」


ジャックの激しい剣戟を受けながらそう俺に言い放った。

俺は何の為に戻ってきた、香澄を救うためだろう。二度とあんな香澄は見たくない、だから。


「こっちは頼んだ俺は下に行く!絶対勝ってこい!」


そうフランに言い残し大急ぎで一階に向かった。




――さあお嬢さん、あなたの命は今からくる男に委ねられた。あの少年が無残にやられる様子をしっかりと目に焼き付けるといい。そしてその運命を悔いるがいい。


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