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第八話 交換日記は何度かやったが、長く続いたためし無し。 ー1ーキャンプ帰りにて

ー1ー


 全てがオレンジ色に染まった、秋の夕暮れ。

 柄にもなく、その美しく変わった田舎の田園風景に見惚れた俺は、

さらに生涯心奪われる事となる微笑みに出会う……


 江藤なつきの熱を帯び潤んだ瞳は、

俺、八重洲ともかの心を永遠に掴んで離さない。



「ふーん、それでも女作っちゃうんだ……」


 

 葉月さん、人聞きの悪い事言わないで下さい。


「永遠に掴んだ?

 高校までの数年間に下方修正して頂けません?」


 ま、まあそれはそうなんだけど。

 でも心の中にずっと初恋の思いは有ったというか……


「そういうのは、浮気とは言わないんですか? 

 それぞれ2人に対して!」


 ええっ!?

 ちょっと、それは……


「この、浮気者ーーーーーー!」


 ごめんなさい!

 思いが至りませんでした!


「フン、まあいいわ、許したげる」


 ありがとう。

 ほんとは言いたかっただけでしょ、浮気者ーって。


「うん。

 何かさ、大人の恋愛っぽいでしょ、ドロドロしたやつ」


 はあ? それが大人か?

 あ、でも俺の役者友達が劇団内で、ドロドロドロドロやってたぞ。


「やっぱり!

 怖いわね、大人の恋愛って」


 おいおい、みんながみんな浮気してる訳ないだろ。

 俺なんて真面目なもんだよ。


「そうね、あなたはヘタレだったもんね」


 ヘタレと優柔不断と優しい人ってのは同類項で括れんだ。


「じゃあ、なつきくんとあんたは同類ってわけ?」


 同類相憐れむってやつ?

 お互い惹かれ合って……って訳じゃないけどさ、実際どうよ?

 なつき、怒ってる?


「ああ、さっきのキスをごまかした奴?」


 やっぱ、なつきにはバレバレだよね。

 いや、俺がごまかしたんじゃないから。


「ヤスコちゃんの言ってる事を真に受けてるの、ガキんちょだけよ」


 やっぱ、そうだよなあ。


「ちゃんと説明しなさいよ」


 ああ、分かってる。

 お前は、なつきに直接話したりできる訳じゃないんだろ? 


「出来ないわね。

 ただ、私の強い感情がなつきくんに影響したり、その逆も、かな」


 例えば?


「私がすごく気を付けてって思うと、そこを注意してくれる。

 なつきくんが凄く嬉しいと、私も嬉しくなる」


 おいおいそれって、お前は守護霊なんじゃないの?


「そんな、違う違う。

 ただ、魂に寄り添うってのは、魂が繋がるって事みたい」


 そうなんだ……

 そういえば、今日、何か不機嫌だな。


「あんた今、帰りの車で爆睡中」


 ああ、そうだろうね。


「隣のとん吉ヤスコちゃんに超もたれ掛かってんの」


 そ、それって。


「なつきくんは、あんたを悪くは思ってないって事ね」


 そうか……

 俺はこの先どうすべきか。

 なつきを幸せに出来れば、葉月も幸福を享受できる。

 せめてもの俺の存在意義は、そんな感じかな。


「私にも分かんないけど、あなたがなつきくんの為に必死になってる時、

あの方の嬉しい気持ちが流れこんでくるの」


 あの方……


「だから今のところ、間違った方向へは向かってないと思う」


 そうか、そうだな。

 とにかく、葉月、お前を幸せにするよ。


「ええっ!?」


 たまに連絡に来るから、その時、今の幸福感を教えてくれ。


「あ、ああ、そういう事ね」


 あの方がどうとか関係なく、お前となつきには幸せを感じて欲しいしな。


「あんたさ、時々キモいよね」


 えーーーーーーーーーーーーっ!


「たびたび発言で問題になるんだから、いっぺん整理して喋りなさいよ」


 はい。

 昔からよく言われます。


「そ。

 素直な子は嫌いじゃないわよ」  



ー 1 おわりー 



 

ありがとうございました。

ー2ーもよろしくお願いします。



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