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何時でも君を見つめてる  作者: 椛 桜
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バカップル襲来

やっと書けました。こんな駄作ですが、読んでくれたら嬉しいです。

ある屋敷の暗い部屋、怪しげな男がにやけながらカーテンを引くと更に隠し部屋が現れた。


その部屋には一面にある美少女の隠し撮りした写真が貼られていた。


「初音ちゃん……早く僕だけのモノになってよ……!」


男は本当に愛おしげに写真にキスをし、苛立たしげに写真を握りしめた。


「何で?何で僕に気づいてくれないんだ……!?何時も僕だけが君のことを真剣に愛してるのに!何故あんな男に僕の初音が奪われなきゃならないんだ!」


ふと思い出したかのようにダーツの矢をダーツ盤に投げた。


「絶対お前だけは許さない……!佐久間 敦!」


ダーツの矢は貼ってあった穴だらけでボロボロのイケメンの写真に刺さっていた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「敦!もう、初日から遅刻とか絶対あり得ないからね!」


艶やかな黒髪を長く腰まで伸ばした美しい少女が後ろをのんびりと歩く青年に怒鳴る。怒鳴るとは言っても彼女の優しげなタレ目はあまり怒っている様には見えず、どちらかと言うと拗ねて彼氏に甘えている様にしか見えない。


「全然まだ間に合う時間じゃないか。全く、初音はせっかちだね」


怒鳴られた青年は指摘された歩く速度を変えずにのんびりとした口調で答える。彼もまた彼女に負けず劣らずの整った顔の持ち主だ。サラサラの程よく伸ばした茶髪の下でお転婆な彼女を見守る様に優しげな凛々しい瞳が覗いていた。


「あと30分しか無いのよ?入学式が始まる前に学校探検とかしたいのに……」


「そんなの入学した後からでも出来るだろう?その時なら幾らでも付き合ってやるから今は我慢してゆっくり行こう、な?」


「分かった……絶対よ?」


彼女は拗ねながらも渋々といった感じで了承した。きっとまだ諦められないのだろう。


「よしよし、いい子だ」


だが、彼氏に頭を撫でられた途端破顔し、満足そうに満面の笑みを浮かべた。その様子は誰が見ても仲の良いカップルそのものだった。


しばらく二人が歩いていると、大きな門が見えてきた。其処こそが二人が今日から通うこととなる私立情愛学院だ。情愛学院は私立というだけあり、広大な敷地と豪華な設備が充実していることが特徴の大きな高校である。


「早く早く!もう既に沢山人がいるよ!早くしないとクラス表、見えなくなっちゃう!」


「はいはい、そんなに急かさないでよ……。見えないんだったら肩車でも何でもしてあげるから………うわっ!いきなり腕引っ張らないでよ!」


ぐいぐいと自分の腕を引っ張る初音に苦笑いしながらも敦は大人しく彼女についていった。そうしなければきっと後で拗ねながら怒ってくるだろう。


それが彼女の愛おしいところであり、彼女の困ったところだ。好奇心旺盛で一度言い出したら聞かなくて、少し止めようものなら子どもの様に口を尖らせて抗議してくる。そんな子供っぽいところもあるが、それは敦にとっては欠点にはなりえなかった。




やっと辿り着いたクラス表の前には既に山の様な人がいた。


まだ式まで30分以上あるのにである。


「うーん、全然見えない……敦、持ち上げて?」


初音が可愛いらしく背伸びしながら眉をひそめて唸りながら敦にせがんだ。


「しょうがないなー」


「やったー!敦大好き!」


そのバカップル加減にいい加減美男美女のカップルで様になっているとはいえ、腹が立ってきていたのだろうか、はたまた嫉妬なのか分からないが、いきなり人の波が割れた。


(((これ以上見せつけんな!このバカップルが!)))


「あれ?見えやすくなったね」


「本当だ……。折角敦に持ち上げて貰おうと思ったのに……」


「見えやすくなって良いじゃないか」


初音はあからさまにがっかりとした態度で敦に持ち上げて貰えなかったことを呟いた。


そのことに気付いたか気付かないか呑気にも敦は素直に見やすくなったことを喜んでいる。当然周囲の嫉妬の視線にも気付かなかったかのようにスルーしている。


二人が見に行くと、一人の少年がクラス表の前に立って自分の名前を探していた。


その少年は低い身長と顔の大半を覆い隠す長い前髪が特徴的なだけのどこにでもいるような普通の男子高校生だった。


後ろの二人に気がついたのか、ハッとした顔をすると(鼻から下は見えている)申し訳なさそうに脇にどけた。


「あっ………すみません。気付かずに」


「いやいや、そんな、別に怒ってないよ?」


「えっ、偉い人か何かじゃないんですか?……てっきり皆が避けたので無礼を働いてしまったのかと」


ほっとした様子で彼は微笑んだ。その姿は低い身長も相まって高校生とは思えない。


「あっ!ねーねー敦!同じクラスだよ!A組らしいよ!」


少年に目もくれず、真っ直ぐクラス表を見に行っていた初音が興奮した様子で敦に報告しながら抱きついてきた。


「えっ!本当?やったな!また同じクラスか!」


うざい程大きな声でいちゃいちゃしながら抱き合う初音と敦を見て少年はポカーンと口を開けて呆然とし、脇にどけていた新入生達は悔しそうに舌打ちをした。


「あれ?その子、敦の友達?」


「いや、まだ名前も聞いてない。友達になれたらいいけどな」


「あ、すみません、自己紹介がまだでしたね。僕は相坂 葉月です。よろしくお願いします」


「俺は佐久間 敦。こちらこそよろしく。葉月って呼んでいいか?こっちは彼女の立川 初音」


「立川 初音だよー。敦の彼女で同じクラスだからよろしくね」


「え?同じクラスって確認してくれたんですか?佐久間くん、葉月って呼んでくれた方が嬉しいです」


「うん、一番上だろうから探しやすかったよ」


「ありがとうございます。……あのー、さすがに周囲の人の視線が痛いので確認もできたことですし教室に移動しませんか?」


葉月の言葉でやっと気がついたのかバカップルは葉月と共に教室までそそくさと上がっていった。


短くてすみません。これからもこのくらいの量で更新していきたいと思います。

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