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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第2章 アムニジア・ロッド
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第8話 ティラナイズ・ザ・ウィーク・フォア・ロッド

「ところで、神上未咲さん」

 俺は神上未咲に訊きたいことがあった。

 さっき、神上未咲が神上臨に言っていた「父さんに『女性を虐めろ』って命令されていた」というのが気になったからだ。

 神上達雄が神上臨に虐めを命令していたのは、何故なんだろうか?

 結城が『魔女』に選ばれたことと何か関連があるんだろうか?

 だが、『魔女』は尊い存在だ。

 その候補者を虐めることに何のメリットがあるのか、全く分からない。

「あのー」

 だが、返ってきた声はとても不満そうなものだった。

 何故だ?

 俺が何か悪いことをしたのか!?

 まず、最初に神上未咲の不満を解決しないといけないのか!?

 これは先が思いやられるなあ……

「いくら取引で一緒に行動することになったとしても、ちょっとあたしへの呼び方が硬すぎません?」

 呼び方か!?

 呼び方なのか!?

 でも、結城は昔からの仲だから苗字呼び捨てをしているだけで、他の女子にはフルネーム+さん付けだしなあ。

 この呼び方、そんなに失礼かな?

「じゃあ、神上さん」

 これならどうだ?

 俺ができる精一杯の呼び方なんだが……

「さんが残ってます!」

 神上未咲はまだ不満そうだ。

 さんが嫌なの!?

 ええ、じゃあ……

「神上……」

 苗字呼び捨てだ。

 結城以外だとお前が初だぞ!

 喜べ!!

「あのー、竜司先輩はどうしても神上という部分を残したいのですか? あたしは確かに『神上家』の1人ですけど、それだと黒服の人たちと同じみたいで……」

 神上未咲は未だ不満そうだ。

 というか、明らかに「察せよ」って目で訴えてきているんだけども……

 ええ……

 これって、残る選択肢1つしかないだろ……

 あれ?

 俺、さっきも神上未咲に選択肢を1つにされてなかったっけ?

「み、み、未咲、き……」

 俺の口が震える。

 まさか、名前呼び捨てを要求されるとは思わなかった。

 女子への名前呼び捨ては初で、すごく緊張するし恥ずかしい。

「はい!」

 神上未咲が、すごく嬉しそうな顔をして、返事をした。

 これでいいんだね……

 俺、すごく疲れるよ……

「未咲……」

 慣れるまでしばらく時間がかかりそうだ。

 これからは、口では未咲と呼びつつ、心の中では神上未咲と呼ぶことにしよう。

 そのほうが楽だ。

「はい!!」

 今度はちゃんと発音したためか、神上未咲は更に嬉しそうな顔をした。

 また、俺は年下の女性に言う事を聞かされるという屈辱を味わったが、まあいいだろう。

 さっきのに比べれば、そんなに辛くない。

「未咲」

 もっとはっきり発音してみた。

 だが、俺の予想に反して神上未咲の反応は微妙なものだった。

「あのー、名前を呼び続けるのやめてもらえます? 気持ち悪いですよ」

ボキッ……

 俺の心の中で何かが折れる音がした。

「ごめん。ところでみ、未咲。さっき、神上臨が神上達雄に『女性を虐めろ』って命令されていたって言っていたけど、その理由って分かるか?」

 やっと本題に戻れた。

 神上未咲に名前の呼び方の文句を言われたせいで忘れかけていたけど、俺がこのことを訊こうとしてこうなったんだった。

「単に父さんが兄さんに命令しているところをあたしが見ただけなので、理由は分かりませんよ」

 だが、理由までは分からないみたいだ。

「うーん……。神上臨が結城を虐めていたことと、結城が『魔女』に選ばれたことは、ただの偶然なのかなあ……?」

 神上臨が個人的に結城を虐めていたのなら、ただの偶然でも何ら不思議はない。

 ただ、神上達雄が虐めを命令していたとなると、何か関連がある気がしてならない。

 まあ、どんな関連があるのかは検討もつかないんだけど……

「ところで、竜司先輩」

 今度は、神上未咲が俺に訊いてきた。

「何だ?」

「結城って、誰ですか?」

 神上未咲も、やはり結城のことを知らないみたいだ。

 『魔女』になった女性なのに……

 まずは、結城がいたことを証明することが先かな?

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