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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第6章 クオリファイア・オブ・ロッド
53/58

第53話 フュージティブ・ポゼッシング・ロッド

「あ……あ……」

 飯地は持っていた包丁を離して狼狽えた。

 飯地の前には、完全に死んだ結城の姿があった。

「お前ぇ……」

 端に寄っていた神上達雄が顔を歪ませた。

 こうなることは想定していなかったようで、とても怒っているみたいだ。

「ただで済むと思うなあああああああああ!!」

 神上達雄が大声を上げた。

「ひっ……」

 驚いた飯地は、『魔女』の社から飛び出した。

 結城が持っていた『杖』を、咄嗟に持って……

「逃がすかああああああああああああ!!!!」

 神上達雄はすぐに飯地の後を追った。


「まさか、あんなことがあったなんて……」

 神上未咲がモニターを見ながら呟いた。

 結城を殺したのは神上達雄だったが、『魔女』を殺したのは飯地だった。

 そういえば、飯地は「『魔女』を殺していない」とは一言も言っていなかったな……

 だが、まだ飯地が何故『杖』を使えるのかが分からない。

 それに、今の映像での神上達雄の発言からすると、この時はまだ結城の記憶は消されていない。

 もし、消されていたとしたら、飯地があんな行動を取れるわけがない。

「未咲! 屋敷の監視カメラの映像を映せるか!?」

「は、はい!!」

 神上未咲が急いでパソコンを操作した。

「映しますよ!」

 神上未咲が叫び、モニターに映像が映し出された。


「殺せえええええええ!! 殺せえええええええええ!!」

 突然、神上達雄の絶叫が聞こえてきた。

 逃げる飯地を、神上達雄が物凄い形相で追いかけている。

 絶叫に応じて、飯地の行く手を『神上家』の黒服が阻んだ。

 手には既に拳銃が握られていた。

「構うなああああああああああ!!」

 神上達雄も胸ポケットから銃を取り出し、飯地を狙った。

バンッ!

バンッ!

バンッ!

 銃声がしたが、そのどれもが飯地には当たらなかった。

「当てろ!! 当てろおおお!!!」

バンッ!

バンッ!

バンッ!

 神上達雄の必死の射撃も、飯地には一発も当たらなかった。

 まるで、結城が持っていた『杖』が飯地を守っているかのように……

 だが、飯地の前後には『神上家』の黒服と神上達雄がいる。

 飯地に逃げ場は残されていないように見えた。

 突然、飯地が監視カメラの映像から消えた。


「飯地先輩は、2階に行きましたね……」

 神上未咲がパソコンを操作しながら言った。

「映しますよ!」

 神上未咲が叫び、再びモニターに映像が映し出された。


 飯地は階段を駆け上がると、一旦壁にもたれかかった。

「お前らああああああああ!! 追ええええええええええ!!!」

 だが、神上達雄の絶叫が聞こえてくると、飯地はすぐに廊下を走り出した。

「『杖』だけは!! 『杖』だけは、取り返せえええええええ!!!!」

 神上達雄が目を血走らせて叫んだ。


「飯地先輩が逃げたとすると、屋上しかありませんね……」

 神上未咲がモニターを見ながら言った。

「屋上?」

「はい。あの廊下を進んでも下に降りる階段は無く、屋上に通じる階段だけなのです……」

 神上未咲が『神上家』の屋敷の構図を教えてくれた。

「じゃあ、次は屋上を映してくれ」

「はい!!」

 三度、モニターに映像が映し出された。


バタン!!

 ドアを開けて、飯地が屋上に出てきた。

 足はフラフラしていて、意識は朦朧としているようだった。

「今だ!! 撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 屋上に出てきた神上達雄が叫び、『神上家』の黒服が一斉に銃を構えた。

 飯地は、どんどん屋上の端の方に向かっている。

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

バンッ!

 銃声が鳴り響いた。

 飯地の身体に複数の弾丸が当たり、飯地の動きが止まった。

 だが、飯地のいた場所は屋上の隅だった。

 飯地は屋上から転落し、姿を消した。

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