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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第6章 クオリファイア・オブ・ロッド
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第51話 パラダイム・シフト・オブ・ロッド

 モニターを見ていた俺と神上未咲は絶句した。

 まさか、『魔女』の儀式で、こんなことが起こっていたなんて……

「竜司先輩……」

 神上未咲が俺に話しかけてきた。

「これは何かの間違いですよね……? この映像は誰かが差し替えた偽物ですよね……?」

 神上未咲はモニターに映された記録が信じられないようだ。

 こんなの突然見せられたんなら、信じなかった。

 だが、俺と神上未咲が見たり調べたりしたことと、何の矛盾もしない。

「そうだと思いたいけどな……」

 俺たちは、『魔女』は偉大な人物で、『杖』は『魔女』が唯一使える道具で、『神上家』は『魔女』を守護する家系だと信じてきた。

 だが、実際はどうだ。

 『魔女』は『杖』の生贄となった死体で、『杖』は死体を餌に力を発する道具で、『神上家』は『杖』の力を独り占めするために『魔女』を守護してきただけだった。

 俺たち木丈霞町の人たちは、『神上家』の掌で踊らされていただけだったんだ。

「俺が言って、お前が理解できると思うか、か……」

 俺は以前飯地が発した言葉を思い出した。

 全くその通りだったとしか言いようがない。

 飯地は、『魔女』をあんなものと言っていた。

 だが、俺はその意味を全然理解できなかった。

 飯地は、結城が『神上家』に殺されたと言っていた。

 だが、俺はその意味が全く分からなかった。

 俺たちは、常識に囚われた答えを探っていただけだった。

「竜司先輩……あたしが、予備ってどういうことですか?」

 神上未咲が俺に訊いてきた。

「この前、『魔女』の名簿を見たとき、未咲の名前も載っていたんだ。端の方に……」

「何で、あたしが『魔女』になるのですか?」

 俺が答えると、未咲がまた質問してきた。

「未咲は忌み子であっても、絶対に挫けなかっただろ? そこを『魔女』の資格者として目をつけられたんだ」

 先程、神上達雄が言っていたことを要約するとこんなところか……

「では、あたしのような人は、生きていてはいけないのですか?」

 神上未咲が涙ながらに言った。

「そんなわけないだろ!! 利用する『神上家』が悪いだけだ!!」

 俺は弱気になった神上未咲に怒鳴った。

「は、はい……」

 神上未咲が弱々しい声で返事をした。

 つい感情に任せて大声を上げてしまった……

 神上未咲が弱気になるのも無理はないと思う。

 何故なら、今まで自分に唯一優しくしてくれた人が、自分を利用しようといたんだから……

「ところで、飯地先輩はどうして『杖』を扱えるのですかね?」

 突然、神上未咲が俺に訊いてきた。

 そういえばそうだ。

 飯地が何で『杖』を使えるのか、今の映像だけだと分からない。

 『杖』の生贄になった人間が『魔女』になるわけだから、飯地が木丈霞町を飛び回れるのもおかしい。

 それに、飯地が『杖』を使っているということは、飯地は1回……

「飯地が、1回死んでいるってことじゃないか……?」

 そうとしか思えない。

 だが、飯地はさっきの映像では『魔女』の社から逃げ出している。

 『杖』も結城が持っているままだ。

「そんな……」

 神上未咲も信じられないみたいだ。

「未咲、もう少し監視カメラの記録を見てみよう。『杖』が関わっているんだ。きっと、『魔女』の社の中で何かあったんだ!」

「はい!」

 神上未咲のハキハキとした返事を合図に、俺たちは再び監視カメラの記録を辿っていった。

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