第32話 アブノーマル・シチュエーション・ロッド
「まず、じいちゃんたちに言わなくちゃならないことがあります。何者かによって『魔女』が殺されました」
俺は、本条さんとアレックスさんがいるため、丁寧語で説明した。
「『魔女』が殺された!?」
「いったい、犯人は誰なんだ? 『神上家』の警備を潜り抜けるなんて、普通じゃできないぞ……」
本条さんとじいちゃんが、俺の説明を聞くなり考え始めた。
「それは、まだ分からないけど、俺が訊きたいのはそのことじゃないんです」
その犯人のことも気になるが、それはじいちゃんの仲間に訊くより警察や『神上家』に訊いた方が良いことは俺も分かっている。
今、訊きたいのは、飯地の目的が何であるかだ。
「『魔女』じゃない人間が『杖』を使って、木丈霞町で事件を起こしているんです」
飯地の名前を出しても良かったが、別段必要な情報でもなかったので、言わなかった。
「『魔女』じゃない人間が『杖』を使っているですって? どうやってですか?」
アレックスさんが俺に訊いてきた。
どうやってって……
特別なことを飯地はしていなかったよな……
「特に何かしたということはありませんでしたよ」
こう答えるしかなかった。
「『魔女』しか『杖』は使えないはずだよな……」
「『魔女』になるには、何らかの条件があって、それに偶然当てはまってしまったのか?」
本条さんとじいちゃんが相談している。
今思うと、1つ1つの疑問が何も解決していないな……
でも、じいちゃんの仲間が相談しだすようじゃ、どの道まだ分からないな……
「まあ、それも置いておいて……。『杖』を使って事件を起こしている犯人が、地蔵の前で人を動けなくさせているんです。これって、何の意味があるんですか?」
やっと、本命の質問ができた。
「地蔵の前で人を動けなくさせているですって? 晄、あなたの出番ですよ!」
アレックスさんが、俺の質問を聞いて本条さんを呼んだ。
何でだ?
「そうなると、『魔女』を殺した奴が事件を起こしているのか?」
「そうとしか、考えられないな……」
じいちゃんと本条さんは、俺の最後の質問を聞いていなかったみたいだ。
まだ、『魔女』を殺した犯人と飯地の話をしている。
「正! 晄!」
アレックスさんが、大きな声で叫んだ。
じいちゃんと本条さんはビクッとして、アレックスさんの方を向く。
……アレックスさん、相当恐れられているな。
「何だ? 今、俺は竜司の質問に必死で答えようとしているんだ。少し静かにしていてくれ」
じいちゃんが、アレックスさんに言った。
ロクに人の話聴いてないだろ……
「ボーイの質問をちゃんと訊いていましたか? ボーイは、『魔女』を殺した犯人が誰かとか、何故、事件を起こしている犯人が『杖』を使えるのかなんて訊いていませんよ?」
アレックスさんが、じいちゃんと本条さんを説得している。
実のところ、俺の質問の仕方が悪い。
誰か、俺にコミュニケーションスキルをくれ……
「え? そうなの?」
じいちゃんが俺に訊いてきた。
何だろう。
腹が立ってくる。
「そうだよ。そんなことは警察とか『神上家』に訊くし……」
自分の怒りを抑えながら、俺は答えた。
「まあ、そうだろうな……。で、質問ていうのは?」
本条さんが俺の答えに納得して訊いてきた。
「その犯人が『杖』を使って、地蔵の前で人を奇妙な状態にしているんです。いったい、犯人は何のためにそんなことをしているんですか?」
「それだったら、アレックスの言うとおり俺の出番だな」
俺の質問を聞くなり、本条さんがかばんに手を伸ばした。
「晄は、木丈霞町の地蔵を調べているんですよ」
アレックスさんが俺の疑問に答えてくれた。




