第25話 ゴー・アウト・フロム・タウン・オブ・ロッド
「竜司、起きなさーい!」
翌朝、やはりというべきか、また母さんの声によって起こされた。
多分、神上未咲が玄関に来ているんだろう。
お願いだから、もう少し寝させてくれ……
「竜司先輩! 起きて下さい!」
神上未咲の声が聞こえてきた。
え?
「うわっ!!!!!」
俺は驚いて、布団を足で蹴り飛ばし、急いで起きた。
何と俺の部屋に神上未咲が入って来ていた。
「ど、どうして、未咲がここに?」
「竜司先輩の母さんが入れてくれましたよ!」
神上未咲が笑顔で答えた。
くそ……
「さあ、すぐに着替えて、事件の調査に行きましょう!」
どうして、こうも神上未咲は元気なんだろうか?
俺はしぶしぶ、着替えることにした。
でも、その前に……
「分かった。着替えるから一旦部屋から出てってくれ……」
神上未咲を部屋から出し、俺は着替えだした。
「竜司先輩、時間かかりすぎですよー」
部屋から出ると、神上未咲がすごく退屈そうな顔で待っていた。
「そうか?」
「はい! 兄さんだったら1分で着替え終わります!」
神上未咲は、神上臨と俺を比較して言った。
そんなこと、知らないよ!!
「それはそうと、今日はどうするのですか? 全くアテがないのですけれど……」
神上未咲が俺に訊いてきた。
その言葉を俺は待っていた!!
「未咲、ちょっと木丈霞町の外に行かないか?」
だが、残念ながら俺に女性をうまく誘う程のコミュニケーション能力はなかった。
「え? 何でですか? まさか……」
神上未咲は顔を少し赤らめつつ、訊いてきた。
良かった……
変に思われなかった……
「実は、木丈霞町の外で『杖』や『魔女』に詳しい人を見つけたんだ」
俺は理由を言った。
「あ……そうなのですか……」
だが、神上未咲のリアクションは小さかった。
あれ?
「ところで、その人って誰なのです? 怪しい人ではないですよね?」
「俺のじいちゃんだ」
「え!?」
神上未咲が驚きの声を発した。
まあ、まさか自分たちの近縁にそんな人がいるとは思わないだろうな……
「正確には、じいちゃんと一緒に木丈霞町のことを怪しんでいる人たちだ」
そういえば、じいちゃんには仲間がいるらしいが、いったいどんな人たちなんだろう?
「昨日、じいちゃんに電話したら今日来るようにって言われたから、すぐに出発しよう」
昨日とは反対に、今日は俺が神上未咲を案内することになりそうだ。
「今からですか!?」
神上未咲が驚いている。
それは昨日の俺の台詞だ!!
「だって、じいちゃんが張り切って仲間を集めるって言っていたし……」
俺は昨日の電話を思い出して言った。
あの感じだと今頃、じいちゃんは嬉しそうに俺の事を待っているんだろう……
それにじいちゃんが、せっかく俺たちのために動いてくれたんだ。
その思いを無駄にするわけにはいかない。
「分かりました! それでは行きましょう!」
神上未咲が了承した。




