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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第1章 ディス・タウン・イズ・インフルーエンスド・バイ・ロッド
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第2話 ガイダンス・フロム・タウン・オブ・ロッド

 俺が住んでいる木丈霞町(きじょうかまち)は、周囲を山に囲まれた盆地にある。

 隣町に行くには、車を使って30分ほど山を下らねばならず、電車は走っていない。

 おまけに、町の中に大きなデパートやスーパーはなく、隣町まで行かないと買い物をすることができない、とても不便な田舎の町だ。

 しかし、そんな町であるにも関わらず、過疎化や少子高齢化と言った問題は起きる気配がない。

 また、観光資源が豊富で、観光客がしょっちゅう訪れている。

 これが町の財源となっているわけだが、これがまた何ともとんでもないものだ。

 それは、第二次世界大戦時に稼働していたと言われている軍事工場。

 交通の便が悪いのに何で軍事工場なのかと思うんだが、どうも隠密性を重視して作られたらしい。

 異常なのは、その軍事工場の多さで、山の方に行けばあちらこちらにあるという状態だ。

 そこには第二次世界大戦で使われた貴重な品が残っているという噂で、珍しい物を見ようとする人やトレジャーハンター気取りの人がたくさん来る。

 その観光客を受け入れるための施設が町の至るところにあり、そこで観光客が使ったお金が町の財源になる。

 おかげで、去年この町の小学校と中学校は改修されて、すごくきれいになった。

 この軍事工場群には、幽霊が住んでいるだとか、第二次世界大戦で使われなかった危険な兵器が眠っているだとか、実は未だに稼働しているだとか、という都市伝説がいくつもある。

 最も有名なのは、実は一度、アメリカ軍によって焼き払われたという話だ。

 ただ、その当時生きていた老人たちは、そんなことは起こったことはないと言っている。

 結局、どの都市伝説も根も葉もない噂みたいだ。

 ちなみに『神上家』はこの都市伝説を次のように解釈している。

 焼き払われた工場を『魔女』が『杖』を使って時間を戻して復元させた。

 流石に俺たちは笑ったが、老人たちは信じきっている。


 ここまでだと、木丈霞町はただの田舎の町で終わってしまう。

 だが、この町には他の町にはない3つの存在がある。

 1つ目は『杖』。

 『魔女』が魔法を扱うのに必要な道具で、あらゆる事象を操ることができる。

 資格を持った人しか扱えず、私利私欲で使うことはほぼできない。

 その資格を持った人が『魔女』になる。

 俺は『杖』の実物を見たことはなく、多分一生見ることはないだろう。

 町のお祭りにくらい出してもいいと思うんだが、『神上家』曰く盗まれでもしたら取り返しがつかないということで、有名な物でありながら町民のほとんどは見たことがない。

 2つ目は『魔女』。

 『杖』を使って人々のために魔法を行使する女性のことで、町民の願いを聴き、叶えることが使命である。

 『神上家』が守護する社の中で、朝昼晩いつでも願いを待ち続けている。

 何故、守護されているのかというと、『魔女』は魔法を使う代償として、身体の大部分を動かすことができなくなるからだ。

 もちろん、喋ることもできなくなってしまう。

 それだけの代償を負いながら、人々のために尽くす姿勢は、偉大な人物以外の何者でもない。

 3つ目は『神上家』。

 『魔女』を守護する役目を負った家系で、町の中央にある『魔女』の社を管理している。

 ちなみに上の2つで説明したことは、『神上家』が言っていたことで、俺たちはただ聞かされただけだ。

 黒服の男を何人も雇って社を守り、更に社の周りをコの字に囲うように『神上家』の豪邸が建っている。

 そのため、余程のことがない限り、『杖』を盗むといった行為は不可能だ。

 立場上、木丈霞町の支配者みたいなもので、町の人々のほとんどが『神上家』の言いなりなため、『神上家』の人間が問題を起こしても、警察ですら知らんぷりする。


 この3つの存在のおかげで、木丈霞町は成り立っている。

 『魔女』の恩恵を受けたいがために、この町に残っている人も多いらしい。

 それだけ『魔女』は、尊い存在だ。

 その『魔女』に幼馴染がなったことは、とても嬉しい。

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