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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第3章 ファブリケイション・オブ・ロッド
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第15話 モニタード・ロッド

 神上未咲のせいで、町の北側に行かされた俺は、へとへとになりながら『神上家』の屋敷まで来た。

 当の神上未咲は、まだ元気だ。

 あいつ、俺より体力あるな……

「着きましたよ! ここが、あたしの家です!」

 神上未咲は、『神上家』の屋敷を指差しながら言った。

 そんなことは知っている。

 しかし、改めてちゃんと見ると、大きな屋敷だ。

 『魔女』の社を囲むように建てられているから当然と言えば当然だけど……

「ああ、そうだな」

「なんか、反応が小さいですねえ……」

 神上未咲は、俺が冷たい反応を取ったことにご立腹だ。

 お前の家が『神上家』の屋敷じゃなければ驚いただろうな……

「そんなことより、『魔女』の名簿は何処にあったんだ?」

 これ以上、神上未咲に振り回されると本題からずれまくる。

 さっさと片付けよう。

「はい! うちの書庫に置いてありました。でも、重すぎたので……」

 なんだ。

 金庫の中とか、神上達雄の部屋の中とかだと思っていたのに……

 割と普通に置かれているんだな。

「分かった。早速、その書庫に行こう」

 俺は『神上家』の屋敷の中に入ろうとした。

 だが、俺はあることについて不安になった。

 監視カメラのことだ。

 『神上家』は『魔女』の社の警備に監視カメラを使っている。

 そのせいで、俺は神上未咲の言うとおりに行動せざる負えなくなっているのだから……

「未咲、『神上家』の屋敷の中に監視カメラってあるのかな?」

「そんなの1つもないですよ!」

 神上未咲がハキハキとした声で答えてくれた。

 あれ?

 『魔女』の社の警備は厳重だけど、『神上家』の屋敷の警備は割と手薄なのかな?

「その代わり、『魔女』の社の方と交代で、黒服の人たちが警備してますよ」

 と思ったが、直後の神上未咲の発言で、そんなことはないということが分かった。

「でも、『神上家』の人が一緒だったら、黒服の人たちは何もしませんよ。そういう契約ですから」

 なるほど。

 つまり、俺は神上未咲と一緒にいる限りは安全ということか。

「じゃあ、気を取り直して書庫に行こうか」

「はい!」

 俺たちは『神上家』の屋敷の中に入っていった。


 初めて『神上家』の屋敷の中に入ってみて思ったことは、予想通りでかいし広い。

 書庫に着くまでに結構な時間が経ってしまった。

「あまり大きな声は出さないでくださいね。黒服の人たちが怪しむかもしれませんから……」

 神上未咲が俺に注意してくれた。

 元からそのつもりだ。

 『魔女』のことを調べるんだから、それを『神上家』の黒服に聞かれたら、俺の身が危ない。

 むしろ、神上未咲の方が大きな声を出しそうで怖い。

「分かった。それで、『魔女』の名簿は何処にあるんだ?」

「こっちです」

 神上未咲に案内されるままに、俺は書庫を進んでいった。

 書庫の中は、埃っぽくて咳き込みそうだった。

 蛍光灯が何か所か点いているが、全然明るさが足りていない。

「これです」

 神上未咲が1つの本を指差した。

 とても分厚い本で、側面に「魔女代替表」と書かれていた。

 確かにこの本は、神上未咲に持つ事はできなさそうだ。

 俺の部屋にある百科事典の倍くらいのサイズがある。

「ふ、ふわぁぁぁぁぁぁぁ……」

 突然、神上未咲が欠伸をした。

 そして、そのまま倒れそうになった。

「ちょっ!?」

 俺は慌てて、神上未咲の身体を支えた。

 さっきまでの元気さは、何処へ行ったんだ!?

「竜司先輩……すみません……。昨日、徹夜で探したので、つい欠伸をしてしまいました……」

 神上未咲は、眠たそうな声で俺に謝った。

 徹夜!?

 何で、こんなことのために……

「ついとかそういうレベルじゃないだろ!」

 俺はこういう状況に直面したことが今までなかったので、とてもビビっている。

「本当にすみません……大丈夫です……立ち上がれますから……」

 神上未咲は立ち上がったが、まだフラフラしている。

 こうなったら、しかたがない。

 あまり、やりたくないんだけど……

「未咲、お前の部屋は何処だ? そこで結城が本当に『魔女』になったのかどうかを調べよう。その方が、お前も横になれるし、気も楽だろ?」

「はい……」

 俺の提案に神上未咲は、か細い声で返事をした。

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