地球という名の物語
ノイズとダンスの海に溺れて ヒステリックに歌ってみせる彼女
あの娘は まさしく聖母だ 泥で塗りたくられた宇宙時代の
50ドルもあれば彼女は世界を変えられるだろうね
彼女によれば 全てをオープンにすれば みなが幸せになれるらしい
だけど彼女の話を信じて 真に受けて
ゲイを告白した少年が 自殺に追い込まれたって話があるのも本当のところ
少年の悲報を歌に乗せて嘆く彼女の国から ミサイルが飛ばされているのを君は知っている
情報が行き交い ハイになり灰になる術を ひたすら探す時代
善悪の基準を指し示すはずの聖教者が 少年虐待で逮捕される時代
無料配信された祈りの歌が 大量廃棄されて データバンクをパンクさせる時代
そんな時代に産み落とされた君は まさに悲劇の 悲劇の操り人形だ
ヘロインとコカインの海に溺れて 夢現に踊ってみせる彼女
あの娘は まさしくジャンヌ・ダルクだ 赤い血で染め上げられたトランスボーダー時代の
傷だらけの靴とピアノが一台あれば 彼女は世界を変えれらるだろうね
彼女の話によれば 過去のトラウマに向き合えば みなが幸せになれるらしい
だけどそんな彼女の話を信じて 鵜呑みにして
心理学を学んだ青年がついには薬物依存
自殺に追い込まれたっていう話があるのも 本当のところ
青年の訃報を歌に乗せて嘆く 彼女の国から爆撃機が飛び立っているのを君は知っている
ニュースが行き交い ハイになり灰になる術を 血眼で探す時代
美醜の基準を指し示すはずの美術評論家が 児童ポルノで逮捕される時代
無料配信された宗教画が 大量削除されて ネット回線をパンクさせる時代
そんな時代に産み落とされた君は まさに悲劇の 悲劇の操り人形だ
あの娘は「もうこれ以上踊れない」と言って服薬自殺を図る
病院に搬送される彼女に付き添うのは 僕が子供の頃憧れたロッカーだ
僕は一人本を開き しばらく音楽を止める
僕は全てを傍観していたつもりだったけど どうやらそうじゃなかったらしい
そう 僕も君と変わらぬ悲劇の操り人形
僕が読んでいた本の末尾には こう書かれていたよ
「みながハッピーエンディングを愛する」と
本当に悲しい話だ 本当に この「地球という名の物語」は