5、戦闘って?
「おかしいわ」
「なにが?」
「私の武器がないじゃない!」
「そうだな。この前自分で売っぱらったよな」
「てことで、なにか武器を貸して?」
「そう来ると思ったよ。全く!今度は売るんじゃないぞ」
そう言って俺は以前使っていた初期の弓を渡した。
「ええー?これ弓じゃない。いやよー」
「俺が刀持ってるわけ無いだろ」
「仕方ないわね。狩人のレベルを上げるわ」
しゅんっと装備したかと思うと、おもむろに弓を構え始めた。
「……どうした?」
一向に打つ気配のないツバキに声をかけてみる。
「ちょっと待って!」
「なに?」
「この巫女みたいな服に弓ってすごく似合うわ!」
「まーた、それか。早く打てや」
「今スクショとりまくってるの!」
「ばか!つかパーティー承認しろよ危ないだろ」
「すごい!弓の飛んでいくエフェクトが綺麗!!」
「パーティー承認ー!」
パシュンパシュンパシュン!
「俺に向けて打つなー!!」
このゲームPK対応してんだぞ!
「なんだかハリネズミみたいね。それでも生きてるとか気持ち悪いわ」
「それがレベル差だ」
「なら、私がバルを倒せばレベル上げが容易じゃないかしら」
パシュンパシュンパシュンパシュン!
「やめーい!」
「お願い!私のために死んで!!」
後日ハリネズミみたいになった俺のキャラが、ブログにアップされたことは言うまでもない。