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恋の行方

晴れた秋の日・・・


雷馬の屋敷の庭園ですみれと雷馬の婚約式が行われた。


「すみれ・・・良かったわね。こんなイケメンでお金持ちで優しい彼を捕まえられて・・・」

すみれの母は既にほろ酔いモードに突入していた。



「おめでとう。雷ちゃん、すみれちゃん。良かったなあ・・・ほんと。」

ライアンがお祝いを言ってくれた。


「ありがとう。ライアン」

すみれはライアンの横にぴったり寄り添っている可愛らしい女の子に気がついた。


「ライアン。その人は?」


「あーーー紹介するね。茜ちゃん。僕の彼女」



すみれと雷馬は顔を見合わせた。



「初耳だ」


雷馬が言うと


「うん。まあ・・・今回は、うまくいくまで

黙っておこうって決めてたから」

ライアンは茜の肩に手をまわした。


「はじめまして・・・その・・・おめでとうございます!」

茜は頭を下げたせいで思い切りテーブルの角に頭をひどくぶつけてしまった。


「いたーーーい」


「またやっちゃったの?茜ちゃん・・・」

ライアンは心配そうにかがんで茜の頭を擦った。


パーティは、ずっと続いて夜になってブタの丸焼きがたくさん焼かれて香ばしいにおいがあちこちに漂いすみれの母は完全に酔いがまわりテーブルに突っ伏して眠っていた。


まんまるの月が空に現れ始めると、どこからともなく

「わおーーーーん・・・」と遠吠えが響き始め、それを合図にあちこちから狼の遠吠えが聞こえてくるようになった。


使用人、招待客の中の何人かが狼に変わっていた。


「凄い・・・遠吠えだね・・・雷馬」


そう言って雷馬を見ると雷馬も狼に変わっていた。


「え?ああ・・そうか・・月のせいね」

すみれは白い狼の横に寄り添って立っている茜を見つけた。


「茜ちゃん?平気なの?狼とか・・・こわくない?」


茜は笑顔を見せた。

「うん。大丈夫。私、ライアンが狼だって、もう知ってるから」


「そうなんだ・・・。ライアンのこと本気で好きなんだね?」


「うん!それにね 狼ってかっこいいでしょ?これがブタとか牛だったら少し考えちゃうけどね」


「ぷっ!面白いね。茜ちゃんって」


「そお?」

茜ちゃんは、そう言って白い狼のライアンに

お肉を食べさせていた。

「おいしい?」


「ありがと。茜ちゃん」

寄り添う白い狼のライアンと茜ちゃんは、とってもお似合いだった。



「どこに行ってんだよ。すみれ」

銀色の狼の雷馬が厳しい口調で言ってくる。


「ちょっとね。ライアン良かったね。イイ彼女がみつかったみたいで・・」


「そうだな。それよりすみれ・・・そろそろ

俺の部屋に行こう。大事な儀式が待ってる」


「儀式?」


「そうだ。俺が人狼から人間になる儀式だ」


「それって・・・・もしかして?」

すみれは真っ赤になった。



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