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人狼でも

夜の山の中を白い狼が女の子を乗せてすごい勢いで猛烈に走っていた。


「いた!すみれちゃん・・・ここからはひとりで行く?」

狼のライアンが囁く。


こくりと頷くすみれ。


ゆっくりと丸まって寝ているような銀色の背中に近づいていく。



すみれは、そっと銀色の狼の背に体を寄せて

ぎゅっと抱きしめた。


ビクッと少し動いた銀色の狼。


「雷馬。このままで聞いて。


ごめんね。私・・雷馬の気持ち全然わかってなくて・・・まだまだ・・・雷馬のこと知らない事だらけだね・・・」


すみれは銀色の狼の背中を撫でた。


「順序とか・・・どうでも良かったのにね。

小さな事にこだわって馬鹿だね。私・・・

許してね。雷馬・・・」



銀色の狼、雷馬は頭をすみれのほうへ向けると、すみれの鼻に狼の鼻先がくっついた。



「すみれは馬鹿じゃないよ。うちの高校が誇る才女だろ。知らない事なら、これからお互いに知っていけばいいだろ?ん?」




「雷馬・・・好き」

狼の頭をなでるすみれ。



「すみれ・・・

お前がまだ知らない事をひとつ・・・教えておく。」



「ん、なあに?」



「狼は案外腹を撫でられると嬉しいもんだぞ。」



そういって寝転がって腹をみせた。


「狼のお腹なでるの初めて!」

喜んでなでるすみれ。


「んーーーーたまんない」


狼が気持ちよさげな表情をしている。



「あーーー我慢できない。屋敷へ戻ろう。すみれを抱きしめたい!背中に乗れ。」


「えーーまた?痛いし、怖いんだよ・・・

背中に乗るのって」


「いいから、早くしろって」


結局、今度は銀色の狼の背中に乗って急いで屋敷へ戻った雷馬とすみれ。




屋敷へ戻りリビングへ入ると部屋のカーテンをすみれが閉めた。


少しすると月の威力を感じなくなった雷馬は

徐々に人間の姿へ戻った。



裸のままの雷馬は床にうずくまってぐったりしている。




変身するのに随分と体力を消耗するようだった。


「雷馬・・・大丈夫?」

雷馬の傍に来て座り込むすみれ。


床に寝転んだままの雷馬がすみれの手首を強く掴んだ。


「・・・・すみれが俺に元気をくれないか?」


「・・・・どうすればいい?」


雷馬がすみれを引き寄せ、すみれの耳元で何やら囁いた。


「!////恥ずかしいな・・・・」

そう言いながら深呼吸をするすみれ。


すみれは真っ赤になりながら床に倒れたまま

裸の雷馬の顔に顔を寄せた。



雷馬の薄くて形のいい唇をめがけてどうにか

自分の唇が合わさるように願いながら近寄ってみるすみれ。


でも・・・



目を閉じて向かった目的地は少しずれてしまったようだった。


「すみれ・・・そこ・・・顎だから」



「あっ/////恥ずかしい!ごめん」


「いいよ。・・・・おいで」



そう言って床の上で裸の雷馬に抱きしめられたすみれ。


なんか・・・

雷馬の筋肉?を感じるし・・・



なんかすごく・・・

密着感・・・


恥ずかしい・・・



雷馬の喉仏だけを見続けるすみれ。


シャープな顎のライン・・・


どれをとっても凄く・・・

かっこいい・・・



この人の花嫁になるんだ・・・

私って・・・・


果報者かも・・・



「すみれ・・・お父さんの入院費も心配すんな。俺んちは金持ちだから。」


「ねえ・・・雷馬の家は、なんでお金持ちなの?」


「ああ・・・言わなかったな。代々続く老舗のドッグフードメーカーだからな。」


「え?ドッグフード?の会社だったんだ・・・」


雷馬は床から起き上がった。




あわててすみれも起き上がり見る場所に困り顔を両手で覆った。



どうしても・・・


目のやり場に・・・困っちゃうんだよなーー

赤くなるすみれ。



そんなすみれの頭をポンポンと叩いて


「さて・・・着替えてくる。少し待ってて」

雷馬が立ち上がった。


「きゃああああああ」

すみれが悲鳴を上げた。


「なんだよ・・・みえてんのか?意味無いな。お前の両手で隠す行為って」


仁王立ちでそう呟いた雷馬。


「・・・見たいなら言ってくれれば・・・」


「違うって////」

すみれは慌てて否定した。


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