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邪魔者

「いたたたっ!ゴメンナサイ!大丈夫?」

舞香は廊下で誰かに派手にぶつかった。



「いて……僕は平気。それより君は大丈夫ですか?」

青い瞳のライアンだった。


差し伸べたライアンの手を掴んで起き上がった舞香。

「大丈夫。急いでてごめんなさい」


「そう? 僕のほうもごめんなさい」

舞香の手をゆっくり離しながらライアンは 

「君は僕の隣のクラスの岸本舞香さんですよね?」

と聞いてきた。


「はい。名前良く知ってましたね?」


「もちろん。僕は好みのタイプの女性の名前は覚えてますから」


「好み?」


「そう。めっちゃ好み」


「めっちゃ?とかって、どこで教わったの?日本語」

楽しげに笑う舞香。



「うん。実は……」

舞香の耳元に口を寄せて話し出すライアン。

それに爆笑する舞香。


ライアンと舞香は、このぶつかり事件がきっかけで徐々に親しくなっていった。


「舞香!おはよう」

手を振ってくるライアン。



「ライアン。おはよう」


「今日も綺麗だし、可愛いね。舞香」


真っ赤になる舞香。

「ちょっとライアン。朝から恥ずかしいなー」


「そう? ホントのことなのに」

ライアンはそう言って舞香の肩に手をまわした。


「あ、あのね、ライアン。外人は普通なことなんだろうけど、こうやって肩に手を置くのとか正直困る」


「どうして?」



「彼氏いるから」


舞香はライアンの腕を外した。

「駄目なの?」



「うん」



「肩くらいで怒る?彼氏。そんなケチな男?」

青い瞳で覗きこんでくるライアン。



「ケチとかじゃないよ。雷馬は」


「じゃあ、きっと大丈夫だって」

ライアンは、また舞香の肩に手をまわして自分の方へ抱き寄せてくる。



「ライアンってば」

困るといいつつ、ことわれないでいる舞香。

舞香はライアンの外国人特有の明るさやオープンな性格に惹かれていた。


もちろん、見つめられると息が止まってしまいそうに綺麗に澄んだ青い瞳にも魅入られていた。


だから、ライアンに

「今度の日曜、日本のいいところへ案内してもらえないかな? 舞香」

そう言われて、やっぱり断れなかった。


日曜は、いつも雷馬とデートだと暗黙の了解で決まっていたけど一度くらいならいいかって気軽な気持ちで

「いいよ。案内したげる」

と舞香はOKしたのだった。



いつもの昼休み。裏庭で並んで座る舞香と雷馬。


「ごめんね。今度の日曜は」

すまなそうに謝る舞香。


「今度の日曜は誰かの葬式か?」

無表情で雷馬が舞香を見る。


「まさか……違うの。中学の時の友達と」



中学の友達だって? 真っ平だった。

舞香の最近の言い訳

先週は確か親戚の結婚式だった。


「もう4週連続なんだけど。日曜逢えないって。用事あるって、お前から断られんの」

雷馬は、いい加減頭にきていた。



「いったいなんなんだよ。お前、最近変だぞ」

舞香の両腕を掴んで自分の方へ向かせる雷馬。


「ごめん」

雷馬に視線を合わせず下を向く舞香。視線を合わせないことが舞香の答え。


「もういい!俺もう戻る」

怒りが収まらない雷馬は舞香を残し先に教室へ帰る事にした。


落ち込んで座っている舞香のところへライアンが現れた。

「舞香。どうした?」

ライアンは舞香の隣へすわると、うな垂れている舞香の長い髪をそっと指ですくいあげ耳へかけると両手で舞香の顔を持って上に向かせた。


困ったような顔の舞香。

「喧嘩したの。雷馬と怒らせちゃった」


「その原因は僕?」

ライアンが切なそうに言うので気を使う舞香は

「違うよ。わたしが私がいけないの」

と、泣きそうになって答えた。


そんな舞香の頬を親指で、なでライアンは舞香の唇に近づき静かに目を閉じた舞香にキスを落とした。





「な!」

舞香のことが気になり上に戻ったものの窓から裏庭をのぞいた雷馬が見たものは目を閉じた舞香に近寄るライアンの姿だった。


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