三回目
本日3回目のデートは雷馬の部屋から始まった。
「来たのか・・・・」ベットの上で布団をかけて横になっている雷馬が少し顔を上げた。
「遅い・・・・」
苦しそうな顔をゆがめて笑う雷馬。
「どうしたの?大丈夫? 随分・・・・苦しそう・・・昨日は、あんなに元気だったのに」
すみれが傍に来ると雷馬は、すうっと手を伸ばしてすみれの腕を掴んだ。
「心配か・・・・俺の事」
そんな事を苦しそうにいう雷馬。
「・・・・まあ。だって、まだ契約期間だし・・・・」
すみれの口から可愛げない発言を聞いてもなんら表情に変化の無い雷馬。
すみれの手を離すと
「限界なんだ・・・・そろそろ決断しないと・・・」
そう言ってすみれを真っ直ぐに見た。
その瞳は黒に近い深い茶色で獲物をみつけた獣・・・・
そう狼のように眼光するどく鋭利な刃物のように危険で、妖しい香りがした。
息することさえ苦しそうな雷馬。
ゆっくり体を起こした雷馬は、すみれをじっと見据えたまま
「5回逢ってお前を思う感情に俺の中で少しでも変化が現れたら・・・・って期待してた・・・でも・・・時間が思ったより少なくなっているみたいだ・・・・俺は、お前に逢っても・・・・お前に特別キスしたいとは思えなかった。きっと何度逢っても同じ事だろう。お前に極上のキスをしたいとは思わない」
極上のキス・・・・なんだか・・・すごくサラッと言ってるけど。
それってかなり残酷で失礼な事のような・・・
「前に 言ったよな・・・俺のキスは極上だって・・・今までお前に何度も逢って、においも味も試したけど・・・・」
雷馬の表情は、ひどく冷たかった。
「お前を襲う気にはなっても・・・・唇にキスする気にはならなかった・・・つまり」
キスする気にならないなんて・・・
それって
ちっとも好きじゃないって、そう言ってるの? 雷馬くん・・・
すみれの瞳にいつの間にか涙が溢れた。




