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イケメンの秘密

はじめまして。しらと★りこです。


あったかい感想をお願いします。


1、才女とイケメン


「で? 勉強しないんですか?」

痺れを切らしたすみれは、とうとう不満を口にしていた。


とんでもなく広いお屋敷。どこか西洋美術館のような趣のある洋館風の建物。

その中のシアタールームなる部屋には巨大スクリーンがあり、部屋のほぼ中央に位置するいかにも高級そうなキャメル色したレザーのロングソファ。


すみれは、この屋敷に住む雷馬らいまと一緒にもう随分長く二人きりで座っていた。


あいにくいちゃついていた訳でもない。ただひたすらDVDを見せられていた。全てのDVDに共通して出てくるのは、さして興味の無い狼男だ。


雷馬は、DVD鑑賞に飽きてしまったらしいすみれの隣にぴったりと寄り添うように座り直した。


すみれの長いストレートの黒い髪をすうーーーと撫でて耳元で

「狼男は……嫌い?」

と囁いてきた。




ぞぞぞーーーっ。

すみれの全身に鳥肌が立った。



学校でも飛びぬけて雷馬は女子に人気のあるイケメンであり、人間離れしたその美貌もさることながら身体能力も並外れて高い。だが、学力はというとかなり低めのようだ。



それでも、雷馬人気は衰えなかったし、雷馬と目を合わせると絶対に雷馬のとりこになる。

信じるか信じないかは別にしても、そんな都市伝説のように語られるほど不思議で絶対的な魅力のあふれる人だった。



だから、トイレから出て来て手を拭きながら学校の廊下を歩くすみれの前に現れた雷馬が

少しハスキーな低い声で

「今日から俺の家庭教師やってくれない?」

とすみれに言ってきた時は正直、耳を疑った。



「は?わたし?」



「そう。花岡 すみれ。学年トップの成績をほこる才女だよね? それに」

雷馬は、すみれに顔を近づけてきた。



「食べたいくらいにかわいいよ。花岡すみれ」

と囁かれてすみれは、すっかりポーっとしてしまった。

黙っている間に話は勝手にまとまり、早速今日から雷馬の家に訪問する事に決まっていた。




屋敷に来て早々に映画の狼男を散々見せられていた。


狼男は通常満月の夜に変身する場合が多いものだ。

だが、今みてるDVDの狼男は月を見ると、それが三日月でも、なんかのアニメキャラクターの月でも、はては絵本に出てくる月、どんな月でもとにかく月という名のつくものを見ると変身してしまう。コメディ色の強い映画だった。


「狼男に興味ない?」

再び雷馬は、すみれの髪を撫でる。


「狼男の話なんて昔からありますから、その…あまりかわり映えし無いと言うか」


「そお? 俺は好きだけどな狼男」

雷馬は長い足を組みなおして、ふっと笑った。


「それより、あの…勉強は?」


「それ……マジで言ってる?」

眉間に皺をよせる雷馬。


間髪いれずにすみれは、こくりと頷いた。



「この俺を目の前にして?」


当たり前だと言いたげに、うんうんと頭を上下させるすみれ。

雷馬は不機嫌そうに眉根を寄せ、すみれを眺める。


「変り種だな?すみれは」



「あの、聞きたいんですけど、どうして私の事をずっと呼び捨てなんです?」


呆れたように雷馬は肩をすくめた。

「そういうの聞かないよなー、普通。呼び捨てされて、やな訳?」


すみれは、またまたすぐに頷いた。

「はい。私、あなたに呼び捨てされるほど親しくないんで」


「過去を気にするタイプなんだね? すみれは」


「いや、そういう事になりますか? ならないですよね?」

疑問を投げかけ首をかしげるすみれ。


雷馬は、すみれの顎を人差し指で持ち上げキスする距離までぐんと近づいた。


「うっ」

雷馬の顔が近くなりすぎたため息苦しくて思わず呻いたすみれ。


「知ってる? 俺のキスは極上の味がするんだ。今まですみれが味わった事の無いような」

雷馬は、すみれの鼻先に『ちゅっ』と触れるだけのキスをした。


「な! なんで! いきなり!」

真っ赤になって、すみれは雷馬の胸を思い切り押しやった。だが、雷馬の体はぴくりとも動かなかった。



「だけど、そう簡単には出来ないんだよ。なんせ極上なキスだから……今はまだ我慢してくれる?」














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