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I to YOU

作者: 駄菓子菓子
掲載日:2013/09/06

『ねえ。ねえ、目を覚まして』


「………ゥ……ン……ゥン……」


『ボクが見える?』


「……」


『ボクはユウ』


「……」


『えーっと……聞こえてる?』


「……ワタシ……ワタシは………」


『もしかして、自分の名前がわからないのかい?』


「うん」


『じゃあ教えてあげる。君はアイ』


「ア……イ………」


『そう、アイ。いい名前だ』


「……あ、ありがと」


『じゃあ行こうか』


「行くって……どこに?」


『そんなの、“どこか”に決まってるじゃん!』


「“どこか”って?」


『いいから、いいから。ほら、手』


「う、うん」


『アイの手はあったかいね』


「……ユウの手は冷たい」


『あはは。まあ、とにかく。行こうか』


「うん。

 

 ……ねえ、どのくらい歩くの?」


『それは君しだい。長いかもしれないし、短いかもしれない』


「わからないってこと?」


『君がそう思うなら、そうかな』


「どういうこと?」


『あはははは』


「笑ってごまかさないでよ」


『ごめん、ごめん。

 

 じゃあさ、他に質問とかないの?答えてあげる』


「そんな急に……あ、じゃあ、ユウはどこから来たの?」


『どこからも来てないよ。ボクはずっとここにいる』


「ずっと?」


『そう、ずっと』


「寂しくはないの?こんなに暗いのに」


『平気だよ。“ここが真っ暗だ”ってこれ以外の景色を知らないボクにはわからないしね』


「でも、これじゃあ道も見えないよ」


『道は未知のものだから……なんてね。

 

 でも、いいんだ、見えなくて。進むのはボクじゃない。ボクは待っているだけだから』


「……すごいね、ユウは。ちゃんと自分の意志を持ってて、カッコイイ」


『はは。お褒め頂き光栄だ』


「羨ましいな。ワタシもユウみたいになれたらいいのに」


『……どうして?』


「だってユウは、元気で明るくて、優しいし、それに強い。ワタシに無いもの全部持ってるんだもん!」


『君はユウになりたいのかい?』


「なれるの?」


『なれるよ。そのためには、君は外に出なければならないけど』


「どうやって?」


『君が望めば出られるよ。ここは君の内側の世界なのだから』


「ワタシの……世界?」


『そう。ボクも君に作り出されたんだ』


「え……」


『ユウは君が望む存在。君が憧れる存在だよ』


「なりたいワタシ?」


『うん』


「ここから出れば、なりたいワタシになれるの?」


『厳密には、その後に色んな人に出会わなければならないけどね』


「でも……ワタシは……」


『何をそんなに悩むことがあるんだい?望む自分になれるんだよ!』


「……でも……やっぱり」


『何で!?ボクみたいになりたいんだろ!だったら』


「でも!!ワタシが居なくなったら、またユウが一人になっちゃう!」


『……えっ』


「ここは暗いし怖いし寂しいよ」


『……』


「ひとりぼっちは……平気なんかじゃ、ないよ……」


『は、は……あはははは』


「ユ……ウ………?」


『ボクのことあんなに褒めてたくせに、アイだって十分強いし優しいじゃん』


「そんなこと……」


『そんなことある。だからさ、もっと自信を持ってよ。アイの中には、元気も明るさも優しさも強さも、ちゃんとあるんだから』


「ワ、ワタシはそんなにすごくないよ」


『できるよ。君ならきっとできる。たくさんの人に会ってユウになれる』


「できる……かな?」


『そのためには外に行かなくちゃ。そして、ボクに明るい世界を見せてよ。言っただろ?進むのはボクじゃない。君だ』


「……わかった。ワタシ、行くよ」


『うん。


 ……外の世界にはたくさんのイヤな事があるだろう。悲しいことや辛いことも、数えきれないほどあるだろう。だけど、絶対に忘れないで。世界はそればかりではないことを。君はそんな世界を変える力を持っているのだから。君の強さは誰よりもボクが知っている』


「ユウを信じる。ワタシはきっとユウになってみせる」


『うん。楽しみにしてる』


「じゃあ、いってきます」


『さようなら』


「ユウ、ありがとう」







『……頑張れ、ユウ』 







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