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37.同郷者

35話の力の説明部分を大きく改変しました。

イメージ以上の大きな力として読んで頂いてる方に伝わってしまうと判断し書き直しました。

年度末で多忙だったため更新が遅れた事と合わせて謝罪させていただきます。

沢山の薬草を保管しているチャオの部屋は一種独特な香りが染み付いている。

決して不快な香りではないがミユキにとってはどうしても向こうの世界での病院を思い出してしまう香りであり、今まさに診察を受けている状況と相まって少し緊張してしまう。


あの後事情を話し私をチャオ達に預けると心配しながらも渋々とルビスは広場に戻っていき、此処には私とチャオ4人だけになっている。

馴染みの見知ったチャオの他に3人の見慣れないチャオ族の人達がいることも緊張の度合いを高めている要因だろう。


「ん~ちょっと脈拍が多いですが、他には別段異常は無さそうですね」


「アハハ・・・この状況に緊張してるせいじゃないかと・・・」


ポリポリと頬を掻きながら答えるとミユキさんの事情は既に説明してありますので大丈夫ですよと笑顔で言われたが、こちらを見つめてニコニコと微笑んでいる3人を見るとつい緊張してしまうのは致し方ないと思うミユキであった。

3人のうち2人はまぁいいんですよ、男性の方と女性の方で両名とも茶色の髪をしていてチャオ族の衣装に身を包んでいる40代位の方達で、馴染みのチャオより偉い方達だろうとしても普通の方達だろうと窺えるのだが、問題は残りの1人にあったのだ。


かなりの高齢の方で杖をついている姿も堂々としていて若干腰が曲がってきてはいるが向けられる眼差しにはまだまだ強い力が宿っている。それ以外はただ一点を除いて衣装も他のチャオと同じなのだが、その一点だけでミユキを困らせるには十分であった。


LEADERリーダーって書いてあるんだよねぇ・・・・。


そうなのだ、杖にLEADERと刻印されているのだ。しかもその文字はあちらの世界の文字であり、こちらの世界には存在しない文字であった。


そのままの意味で取れば指導者あたりに訳していいんだろうが、これはスルーするべきなのかそれとも突っ込んでおくべきなのか。そもそもナゼこの文字が此処に存在しているのか、以前に聞いたチャオの伝承と先ほど邂逅した『彼』の言葉で1つ仮説がたてられるのだが・・・・。


「どうしました?気分でも悪くなりましたか?」


う~んと考え込む私の姿にチャオが心配そうに聞いてくるのに違う違うと返事を返しながら、悩んでいても答えは出ないんだしと意を決して


「あの、その杖に書いてあるのはLEADER・・・・指導者って意味ですよね?

貴方がチャオ族の指導者の方なのでしょうか?」


私の言葉に笑顔は消え去り目を見開いて4人のチャオに見つめられる。

シーンと静まり返り重苦しい空気に支配される場にもしかして地雷踏んだ?と後悔するも出した言葉は取り消せないのはどこの世界でも共通する事で、どうせ地雷踏んだんなら駆け抜けちゃえと開き直ったミユキは一気に仮説に対しても聞いてみることにした。


「貴方達チャオは・・・・いえ、チャオの祖先の方かな・・・・もしかして私と同じ『場所』から来たんじゃありませんか?」


『彼』は世界に認められなければ力は使えないと言っていた、なら私の前にこの世界に来ていた人達がいたのかもしれない。そして何らかの方法で後任の私が来る事を知り伝承として伝えてきたと言うのが私の立てた仮説なのだが、いきなり祖先は異世界人ですかとは聞けないのでぼかして聞いてみたんだけど、ありありと浮かぶ驚愕の表情にもしかして直球ストライクですかぁ?と固まっていると


「なななななにを言うんですかミユキさん、ねぇ?」


「そそそそそうですよそんなことあるわけないじゃないですか、ねぇ?」


「あああああたりまえじゃないですか、ねぇ?」


「よくぞ見抜きましたなミユキ殿」


「「「あっさり認めないでください長老!!!」」」


なんだろう、チャオ族ってみんなこんな感じなんだろうかちょっとイメージ狂うぞとか思いながらも私を見つめ返す真摯な長老の瞳に気を引き締めなおす


「チャオ族のどこからその答えに辿り着いたのですかな?」


「1つは私にぴったりと当てはまる伝承をそこのチャオから聞いていた事と2つ目はその杖に書かれている文字です、それは私の居た『場所』の言葉で此処には存在しない文字です。3つ目は・・・・これが一番の決めてなんですが、スイマセン秘密です」


そうですかと呟き暫しの瞑目のあと、ゆっくりと長老は語り始めた


チャオ族は2番目にこの世界に遣わされた者の末裔であること。

しかし授けられた力を行使する資格は得られず初代チャオはその換わりとして癒しの力を望み、その対価として3番目の者を導き守護する役目を担ったという。


「彼は資格こそ得られませんでしたが、その後の人生を費やし癒しの旅に出たのです。その時自身の名を名乗らず人々にチャオと名乗りそしてチャオと残し去っていったと言います、その血と力を継いだ我々もその意思を継ぎ名を封じチャオとして生きているのです」


そんな素晴らしい人が得られなかった資格を私が何故・・・と思いながらも1つ思い当たることがありポロッと口にしてしまった。


「えっと、チャオって言葉は私の居た世界のある地域では挨拶の言葉なんです、出会った時には「こんにちは」の意味で使い、別れる時には「さようなら」の意味になるんですけど・・・・」


その人も挨拶で使っていたんでは?と聞くと4人が「え・・・」と呟いた後、壁際に集まりヒソヒソと相談し出した。

なにそれじゃチャオって挨拶してただけ?我々の勘違い?意思を継ぐとか関係無い感じ?なに、我々のしてきたことって無駄?





どーーーーーん!と背景に文字が見えそうなほど暗く沈む空気と漏れ伝わってくる内容に言わないほうが良かったかもと、今日一番の地雷を踏んだことに今更ながらに気がついたミユキであった。




チャオ族の名の由来が出ました。

大方の予想道理ですいません・・・・。

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