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30.策士

仕事の日程が予測がつかず更新が不定期になっております。

ご迷惑をおかけしております。


(誰か助けて・・・シクシク)

家の裏庭、昆布が干されているその横に荒い目の御座が敷かれその上に焼き上がったパンと、裏ごしされたカボチャと牛乳を合わせて塩と胡椒で味を調えたセリス特性のスープを添えて昼食を兼ねたパンの試食会が開かれていた。


新食感のパンと更にそれらを自分達で作り上げたという達成感から研修組み5人の顔も晴れやかに次々とそれらをお腹へと収めていった。


「最初はパンを売るって言われても正直パッとしなかったんだが、このパンなら納得できるし現に街で人気なのも頷ける」


「ええ、これなら外に働きに出ているメンバーも呼び戻して孤児院で働いてもらう事もできますね」


「・・・・俺達が働きにいっても他の奴らより安い賃金で使われるし夜遅くまでき使われる、それに文句を言えばあっさりとクビにされる。


孤児院の中で仕事があればそんな思いもしなくて済むだろうな」


5人の中で一番の年長者のケントの言葉にルイが頷き、一番若いイトマが孤児達の職場での冷遇に悔しそうにしながらも今後への期待に穏やかな表情を浮かべると、他のメンバーもそうだなと頷き合い絶対に成功させようと決意を新たにしていた。


現在の孤児院には22名の子供達が在籍していた。多くは事故や病により身寄りを失った子供達でフィーリスの街だけではなく、近くに点在する農村からも引き取られてきていた。

年長組み11歳から16歳までの子供たちが9人、年中組み5歳から10歳までが7人、年少組み5歳以下の子供達が6人それぞれ兄弟のように上の子が下の子の面倒を見て生活している。

そして子供達に文字や簡単な計算など勉強を教えているのが女性のルイとファイネの2人で、ケント、マイセル、イトマと他に3人が外で働きながら孤児院の細々とした雑事なども手掛けている。

その他にも数人の孤児院出身者が苦しい給金の中から仕送りを送ってきているらしく、それらを寄せ集めてどうにか施設を運営していたらしい。


今現在の即戦力としては大人8人と年長組みから6人の計14人、若干心もとないが今後戻ってくる出戻り組みがそう遠くない次期に合流する予定でいるらしい、年長組みの残り3人は作業中と露店の間小さい子達の面倒を見てもらう為に院に待機してもらう。

しばらくは大人も子供も慌しい時間を過ごす事になるが、生産さえ落ち着けば余裕も生まれるだろうし生活レベルも改善されるだろう。


膨らむ期待に盛り上がっている皆にポツンと私とルビスが取り残されていると、ふいにマイセルさんが此方を振り向き


「しかしルビス達との付き合いも長いけど、妹がいるなんて今回のことがあるまで知らなかったよ。

なんで黙ってたんだい?」


「え!あ・・・あぁ、ミユキは体が弱くてね日の光に当たらない様にずっと家の中で生活してたのさ、

やっと最近ローブを着れば外に出れるようになったんだよ。

変な噂を立てられても困るからね、あまり外ではミユキのことは言わないようにしてたのさ」


「そ、そうか・・・・変なことを聞いてしまったね。すまなかった」


そう言って私にペコリと頭を下げるマイセルさんに、いえいえ気にしないでください今はもう元気ですから!とガッツポーズをして答えるとニコリと爽やかに微笑まれ、ちょっとポッと頬を染めちゃったりしていると横から漂う冷気にアハハ・・・・と引き攣った笑いを浮かべたりしていた。


マイセルさんは他の人達とちょっと違う雰囲気を持っていた。

ケントさんとイトマさんはがっしりとした体格で骨太な感じの体育会系ってやつで、兄のセリオスも着痩せするタイプではあるが畑仕事で鍛えられた体は引き締まって逞しい印象を与えてくる。

しかしマイセルさんはモロに文系であり、くわすきよりも本の方がよほど似合うと思われた。

スラリとした体躯に細面ほそおもてな顔立ち柔らかそうな癖っ毛に少しタレ気味な目が、まるで尻尾を振って此方を見つめるワンコのようにキュンキュンと乙女心を刺激してくる。こっちの世界で見る初のジャニーズ系を思い起こさせる雰囲気に私の姉はモロ面食いだったのねとチラリと横を見れば、その視線に込められた意味を感じ取ったのか気まずげにフイっと視線を逸らしていた。


ちょっと想像していたタイプとは違うけど、ここは1つ姉の恋路を応援しますかと巡らせておいた策を発動させることにした。


「マイセルさんは姉とは小さい頃からのお知り合いなんですよね?」


「そうだね、ちょうど年代も一緒だったからねセリオスとルビス、あとそこのファイネと数人でよく遊んでいたよ」


ニッコリと微笑まれ私にそのキュンキュン光線はいりませんからと内心で突っ込みながら、ファイネさんも幼馴染だったのかと視線を送るとコクリと無言で頷かれた。

彼女ファイネさんは・・・・何と言うか不思議ちゃんキャラというか最初の挨拶以降は終始無言であるが質問などをすれば頷いたりプルプルと首を振ったりはしてくる、嫌われてるのかとも思ったがルビスからいつもあんな感じだから気にすることないよと言われそういうキャラかと納得したのだが・・・・。

なぜだろう、私は彼女にやたらと見つめられている気がする、なんとなく視線を合わせないようにしているのだが・・・・・まぁそれは置いといて


「ならお願いしちゃおうかなぁ、明後日に街に行った時にねぇさんと一緒に鍛冶屋のキトンさんの所へパンの金型を取りに行ってもらえませんか?私は先に孤児院に行って用意しておきたいことがあるので、ねぇさん1人だと大変かなって心配してたんです」


「ちょちょちょっミミミミユキなななにを!」


「明後日か・・・・うん、だいじょうぶだよ」


「本当ですか!ありがとうございます、じゃぁ待ち合わせ場所とかは本人と決めてくださいね」


とソソクサと立ち上がりルビスの横にマイセルさんを促し、後は若いもの同士で的なノリでオタオタとするルビスを残して退散し他の孤児院メンバーの元に行くとファイネを除く皆が生暖かい目でルビスとマイセルを眺めていた、バレバレ過ぎませんかルビスゥ・・・・と呆れていると、ファイネにギロリっと睨まれてしまった。


その視線にまさかファイネもマイセルの事がと思い至り、また周りをよく見ずに行動してしまったかと逡巡していると


「もうだめ・・・・」


とファイネがポツリと呟きガバッと立ち上がるとそのままスタスタと歩き出してしまった。

うわー修羅場だーどうしよう!と思わず振り返ると、ナゼか私の真後ろにファイネが立っておりアレ?っと思っているうちに背後からギュっと抱きしめられてしまった。


「え?何?どういうこと??」


「あ~やると思った」


「むしろ今までよく我慢したと思いますね」


「ずっと凝視して狙ってたもんなぁ」


「あの~状況がよく飲み込めないんですが・・・・」


そんなやり取りの間もさっきまでの無表情が嘘の様に恍惚とした表情でローブ越しの私の頬にファイネが頬をスリスリしてくる。


「まぁ簡単に言うと可愛い子が好きなんだよ」


「ええ、男女問わず可愛い子が好きですね」


「ローブで顔見えないってのに、それでも見抜くファイネの姉貴凄いっス!」




いや、そこ感心するとこじゃないからイトマ君・・・・。




知ってて黙ってたなルビス!


私も策には嵌めたんだけどさ・・・・。




痛み別けですね。

何やってるんだかこの姉妹は・・・。


登場人物が増えてくると文章だけで個性を表現する事の難しさを痛感してしまいますね。

力不足感が否めません。

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