27.不安にさせた罰だよ・・・。
急遽帰宅できたのでがんばって文章に起こしてみました。
2話で1つのような話なので2話連続投稿です。
「え~皆様はじめまして、こんにちは」
コホンと咳払いをしてから少し照れた様子ながらもミユキが話し始めると、多少ざわついてはいるが皆ミユキに注目して話に聞き入っている。
その様子を見ながらこの短時間の間によくもまぁこれだけ皆の気を引いたもんだと、半ば呆れるような感心するような心境で少し離れた横からその動向を見守っていた。
実際ミユキに促され子供達にパンを配ったルビスだったが、渡した途端に泣き止みミユキの作り方を教えるから自分達で沢山作っていっぱい食べちゃお~と言う呼びかけに、ルビスの周りの子供たちも目をキラキラとさせながら好奇心旺盛にウズウズとしている様に、改めてミユキの人の関心を引く力ともいうべき能力に目を見張っていた。
もちろん子供達の興味を引いた大元はパンだが、それをそのまま自身の計画に移行させて引き付けられるか、と問われれば・・・・・
まぁ、アタシには無理だろうね。
しかもそれらの行動にはミユキの特異ともいうべき外見を一切利用してはいないのだ。
院長先生との交渉にはその姿を晒してはいたが、それはフィールランド家との血の繋がりが無いことを明かす為であり自身の外見の特徴を利用する為では無かった。
ミユキはどこまで自分の事を理解しているのだろう・・・・。
絹のように滑らかな白い肌、夜空を切り取ったかのような瞳と髪に宿る星々の輝き、庇護欲を呼び起こすような華奢な容姿、しかし瞳に宿る光は優しくも強い力を感じさせる。
今まで会ってきた貴族達の傲慢で威圧的な雰囲気とは違う、しかしそれよりも遥かに強い力で人々の目を引きつけそしてミユキを見た者は例外なくその姿に魅入ってしまうだろう。
その証拠に既に院長先生とルイの目にはミユキに対するある種、崇拝のような特別なものが宿ってさえいる。
まぁ、当の本人はそんな事には気づいておらず自分の事も珍しい外見だから面倒にならないように隠しておこう程度にしか考えてないんだろう・・・・そういう子だよ、とクックと思わず1人笑いが込み上げてくるが、ふとこの子はこれから何処へ向かって行くんだろう、何処へ行こうというんだろう、そしてその先にはアタシは、アタシ達家族は・・・・・
ポンっと肩を叩かれハッと意識を戻すと困ったように笑う兄が居て
「なんて顔してんだよ、だいじょうぶか?」
「え・・・あ、あぁ、何でもないさ、ちょっと考え事してただけだよ」
「そうか?
まぁ、なんだな・・・だいじょうぶさミユキは何処へも行かないさ」
思いもしない兄の言葉に思わず、えっと聞き返すが当の兄は眩しそうに目を細めてミユキを見ながら
「ミユキは誰よりも家族を想ってる子だ。
そりゃぁ俺達はまだ家族として過ごした時間は短いけれど、それでも想いあってると断言できる絆があると俺は信じてる。
だからこの先もしあの子が俺達の元を離れることがあったとしても、きっとあの子は帰ってくる」
だからミユキの前ではそんな顔はするなよ、と優しく頭をクシャクシャと撫でられた。
そんな顔をしていたのかと思わず頬に手をあて赤くなった顔を隠しながらも、ミユキの事に兄も同じような不安を抱いていたのかと思い至り、それでもアタシを気遣ってくれる優しさに照れ
「な、何言ってるんだい、兄さんなんかよりアタシの方がよっぽどミユキと分かり合ってるんだ」
と思わず兄の背中をバシッと叩いてしまうと不意をつかれたようでゲホゲホと咽る兄に、小さくアリガトと言うとちらりとコッチを見た兄にニヤリとされ肩をポンポンと叩かれた。
なんか負けた感じがする、と眉根を寄せていると
「え~では大まかな説明も済んだところでぇ、これからの皆さんにやっていただく作業分担について話したいと思いま~す♪」
とミユキのご機嫌そうな声が聞こえてきた。
取り合えずミユキが戻ってきたらアイアンクローの刑は確定。
八つ当たりだけど、なんか文句ある?
短いですね・・・。




