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26.試食

1週間ほど更新できません。


詳しくは活動報告にて。

ギシギシと軋ませながら孤児院の廊下を歩いていく。

板張りで作られた廊下は所々に板で補強がしてあり意識して歩かないと容易くつまずいてしまいそうで、それでなくても軋む音に踏み抜いてしまわないかと歩くだけでドキドキしてしまう。

老朽化が激しいとはいえそれなりの人数を収容できる施設なだけあり、相部屋とはいえかなりの部屋数も確保されて窓も大きく全体的に明るいイメージが抱かれる。


院長室での交渉の後、今後の説明のためにルイさんに皆に集まってもらうようにお願いし軽く打ち合わせてから、そろそろ集まったでしょうと移動を開始していた。

コツンコツンと杖を突きながら歩く院長先生に


「今更ですが、碌な準備期間も無しに巻き込むような感じで協力させてしまってすいません・・・」


「はっはっは、先程までの強気な態度が微塵もありませんなぁ。

どうやら其方そちらが貴方の本当の姿のようですな」


シュンと小さくなって謝る私を笑い飛ばし多少意地悪気に笑って見下ろす院長先生に


「だってちょっと強引な感じで強気で押さないとこんな小娘が持ってくる話に説得力なんて出ないと思って・・・」


「ふむ・・・・確かに最初は子供のカワイイお願い事くらいにか思っても見ませんでしたね。

それがいきなり孤児院の経営状況を問いただしてきたり、窮状を打破する解決策を提示してきたり・・・・。

途中から豪胆な商人と交渉をしている気分にすらなっていましたよ」


すみません・・・と更にシュンと小さくなるとガシッと後ろから頭を掴まれ、ヒィっと悲鳴を上げると


「ホントにねぇ・・・・変なところで突拍子も無い行動取ってくれちゃうから見てるコッチは毎回ヒヤヒヤさせられちゃうよ」


「だだだだってルビス今回のは特に危険があったわけじゃイデデ、それにちゃんと上手くいったんだしィィィテテテ、うわ~~んごめんなさいいいぃぃぃぃったぁぁぁーーー!!」


ギリギリギリギリギリ、ペシペシペシペシペシペシとやり合ってる2人を見て呆気に取られている院長先生の肩をニコニコとしたセリオスがポンッと叩き


「まぁ、いつもの事ですから気にせず行きましょう」


「はぁ・・・・そうですか」


と促して歩いていった。






目的の部屋に着くとザワザワと騒がしくかなりの人数がいることが窺えたが、院長先生が室内に入るとピタリと喧騒が止み静かになった。しかし続けて入ってきた私達の存在に気づくとまた少しザワザワとした空気が持ち上がってきていた。

部屋の中には30人以上の人間がおり、大半が幼い子供だったがそれでもかなり手狭な感じになっていた。


「皆、作業の手を止めて集まってもらってすまなかったね、これから今後のこの施設にとって大事な話しがあるから少しの間静かに話を聞いておくれ」


「今後のことって、もしかしてここを閉鎖するとかって話しじゃないですよね!」


子供達の世話をしている大人たちの1人だろう、施設が資金的に苦しい状態を知ってるが故につい口から出てしまったその言葉にザワザワと不安が広がりついにはその空気を敏感に察した幼い数人の子供が泣き出してしまった。


「落ち着きなさい、ここを閉鎖しない為にその打開策を今から話すと言っているのです。

皆、落ち着いて静かにしなさい」


院長の説明に打開策があるのかと大人たちは平静を取り戻し静かになるが1度泣き出した子供達は中々泣き止まず、ルイ達数人の大人たちがあやしているのを見て


「ねぇ、ルビスはあっちの子達にパンを持っていってあげて、私はこっちの子達に持っていくから」


そう言ってパンを持って歩き出した私の後ろで、意図を察したルビスがわかったと動き出す気配を感じながら泣いている子供の前にしゃがみこむ


「ねぇ、このパン見てごらん柔らかくってフワフワしてるんだよ」


グズっていた子とその周囲の小さい子達にも、柔らかいからそっと持ってねと小さなバターロールを渡していくと変わったパンに興味をそそられ鼻をすすりながらも泣き止んだ。


「小さくて可愛いパンでしょ?それにいい匂いもするしとっても美味しいんだよ」


「いいにおい・・・・」


「おいしそう」


「いいよ食べて」


「いいの?」


うんっと笑顔で頷くと小さな口でパクリと噛み付き食べ始めた。


「おいしい!」


「あま~い」


もっと食べたい?と聞くと全員が頷くのを確認し、じゃぁ作り方を教えるから皆で沢山作っていっぱい食べちゃおうね、そして街の人たちにも食べてもらお~と手を挙げると子供たちも「おぅ~!」と元気良く両手を挙げて応えてくれた。





餌付け成功。




ご迷惑をおかけします。


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