第7話 不思議な縁
しばらくして、先生は就職活動で忙しくなっていた。
以前のように頻繁に連絡を取ることはなくなり、メールも時々になっていた。
私も就職活動を頑張らなきゃ。
そう思っていた。
だけど、今までの私はバレーばかりの毎日だった。
将来何がしたいのか。
どんな仕事に就きたいのか。
自分のことなのに、よく分からなかった。
私は学校に届いている求人票を何となく眺めていた。
ページをめくっていると、一つの求人が目に留まる。
花屋だった。
お花かぁ。
割といいかも。
小さい頃、庭に咲いていた花に毎日のように水をあげていたことを思い出した。
求人内容を見ても悪くない。
少し気になった。
そんなことを考えながら求人票を見ていると、ある名前が目に入った。
代表者 成澤〇〇
成澤。
先生と同じ苗字だ。
それだけで、なんだか少し嬉しくなった。
お花の仕事もいいかもしれない。
この会社、受けてみようかな。
他にもたくさん求人はあった。
それなのに、なぜかこの会社だけが気になった。
なんでだろう。
成澤って書いてあったから?
まさかね。
そんなことを考えながら、私は久しぶりに先生へメールを送った。
就職先を探していること。
花屋の求人が気になっていること。
そんな内容だった。
しばらくして先生から返事が届く。
私はそのメールを見て思わず固まった。
『そこの会社、俺の父親が会長として勤めてるよ!』
え?
私は何度もメールを見返した。
もう一度読む。
やっぱり同じことが書いてある。
先生のお父さん?
本当に?
こんなことってあるんだ。
ただただ驚いた。
先生と出会ったことも偶然だった。
その先生と同じ苗字の会社が気になったことも偶然だった。
そして、その会社が先生のお父さんの会社だった。
偶然にしては出来すぎている気がした。
私はもう一度求人票を見つめた。
もともと花の仕事には興味があった。
その上で、こんな不思議な縁まである。
なんだか、この会社に呼ばれているような気さえした。
私は静かに求人票を閉じる。
そして決めた。
この会社で働きたい。
そう強く思った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
人生には時々、「こんな偶然ある?」と思うような出来事があります。
当時の私は本当に驚きました。
今振り返っても不思議な縁だったなと思います。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




