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街に潜む女もどき

作者: 荒ぶる猫

その人との出会いは地元の縁日で私から声をかけたのが始まりだった。 隣の区から人員不足で助け役として彼が連れてこられたのだ。多分断れない性分なんだなと思いながらも長い髪の毛と目が隠れるほどの前髪を長身をごまかすような猫背で荷物を運び終わって動きが止まった時にふと、私から声をかけた。 「失礼、こちらの方かしら」 今では普通はやってはバッシングを受ける頬に手の甲を添えるオカマポーズだ。 相手はいえ違いますと否定の言葉を口にしたので、その場はそれでおしまい。 あ〜違ったか失礼したな。と私が思い何日かが過ぎた。 そしたら偶然町中でその声をかけた人物と再会する場面があった。 私は彼の格好を構わずにお互い一緒に横断歩道を渡ろうとしたら彼から急に声をかけてきた。 「連絡先交換しませんか?お願いします。」 まぁ先に声をかけた身の上拒否することもできずに通話メッセージアプリを互いに交換した。 それから彼からのメッセージがぽつりぽつりと続いて今度カラオケに一緒に行く事になった。 話の流れってやつ、私はあまり職場以外ではカラオケは他人に聞かせたくないんだけどなぁと思いながらもカラオケ自体好きだから断らなかった。 カラオケに入って彼は全く声を出さなかった。 私が受付を済ませると、店員がどんな属性のお客様がこの時間を使用するかの欄に女性二人と記入があった。 彼はその事実が嬉しいのか少し楽しげに私の後ろを歩く。 そして私たちの部屋へ入ると「ちゃんと女性2名って書かれたね」と少しハスキーすぎるヴォイスで喜んでいる。(私が受付したから&彼はマスク着用) そして飲み物も来たし歌うかとなった段階で相談したい事があってと選曲している私に話しかけてくる。 私は選びながら何?と聞くと、私と同じ職場で働きたいんです。 連絡先を聞いてきた時も、このカラオケに入った時も彼はマスク着用で女性物オーバーサイズパーカーに、ショートスカート、ニーソックス、汚い厚底スニーカーを着用していた。 私は少し薄化粧してワンピースにストローハット、合皮のショートブーツを履いていた。 私と彼が連絡先を交換してからすぐにカミングアウトがあった。 実は私も同じなんですと。 まぁ、狭い世間古い言い方だとオカマ、今の言い方だとトランスジェンダーって言う方に出会うことも多い。 特に私は30歳からのデビューでそれ以降、隠しもしないで大手を振ってオカマをして生きているので中々に強烈なキャラクターらしい。 ある演劇監督が私を見て女優役で演劇にでないかと言われ私は即答で答えたくらい私はオープンに30歳からは生きるようにしている。 それ以前は男として男役を演じ続けていたがいささか疲れすぎ、このまま男でいたら死ぬまで男だと一念発起し30歳の遅めのデビューと相成った。 彼は33歳で夜のいわゆる夜職といった経験もあるそうなので私の働いてる店の面接基準は合格していた。 でもあと足りないのが、メイクの仕方が下手な所と、ヒゲが濃いところだった。 私は真剣にうちの店で働くにはねと滾々と説明した。 そして彼に条件を3個出した。 毎日メイクをし続けてメッセージアプリで私に写真を加工無しで送ること、それと3ヶ月に3回のヒゲ脱毛、あとはコールセンターで働いているらしく、クレーム担当ではないそうなのでこれは良いと電は先のお客様を1日1人クスリとでも笑わせ話術を意識する事を条件に出した。 その3つの条件を達成できたのなら面接に私の名前も出していいし、私からの推薦もありますと言っても良いと言った。 そして色々話しすぎてカラオケが終わりの10分前になった時に彼に私は一番大事なことを伝えた。 あなたへのアドバイスやクレームは、その方達があなたのために考えて言葉にしていただいたプレゼント。 全部実行しなさい。 ヘアメイクのアドバイスを受けたのなら一度そのヘアメイクにしてみて他の人に意見を聞きなさい。それで似合わなければ二軍落ち、洋服によっては合う髪形かもしれないから捨てちゃだめ。 自分の好きか嫌いかではなく、客観的な評価を大事にしなさい。見た目が女なら声がいくら低くても誰もおかしいとは思わないから。 変に隠すからおかしくなるの。 良い大事なのは客観的な貴女、中身なんて関係ない外見だけ、他の人は外見だけで貴女のことを決めてくるからね。 3ヶ月頑張ってねと言ったところでカラオケから出て別れた。 その日は画像は送られてこなかった。 まだ会って指示を受けたばかりだから仕方ないなと思いながらも、翌日も送られてこずに私はちょっと苛立ちを覚えながら、画像送られてこないのは何で?そんなにお化粧する時間がないのそんなに忙しいのかしら? 貴女は職場ではお化粧大丈夫って言っていたわよね。なら朝に送れるでしょ?なんで送らないの?と強めに言った所画像悪用をされた経験がありトラウマだと言うものだから次に合うときまでに上達しているようにね!って言ってしまった。 私は過去の事を思い出した。 30歳で夜職のニューハーフバーで、ある女性客の席に着くことになった。 始めましてと自分の名を名乗り着席して良いかと問いかけると頭から足先までじろりと見てヘアメイク駄目、メイク駄目、ドレス駄目、アクセサリー駄目、ヒールも駄目! 貴女、何しにここに来てるの?と言われてしまった。 とりあえず座りなさいと言われ何を話したかはショックすぎて忘れてしまった。 そのお客様と二度目の再会はそう間を置かずにやってきた。玄関のベルが鳴り、一番近くにいた私がお客様をお迎えしたらあの時の女性のお客様、今回も頭の先から足先まで見られ、「少しはマシになったわね」と一言。 3度目の出会いは数カ月開いて再び私がお出迎えした。 そしたら彼女はオーナーを呼んで今日からこの娘指名でお願いね。と言ってくださった。 お客様を席に案内してお絞りを渡すと「貴女本当に頑張ったわね。最初と見違えるみたいよ。最初怖い人って思ったでしょ?私だってきつく言っちゃったかなって反省したもの、でも見込みのない娘にあんな事言わないはブスは何やってもブスなんだから、でもあなたは違ったし、努力して変わってくれた。本当にうれしい」と誰も指名しないその方から指名をいただくことができた。 それが私が31、32歳くらいの話、実は40歳になってヘアスタイル、化粧、ドレス、アクセサリーで100点を頂けてその指名の時よりも嬉しかったのは良い思い出だ。 なので、成果物を出してもらえなけりゃアドバイス使用が無い、次会った時に上達しているか確認することにした。 そしてヒゲ脱毛の件もお金がなんて言って行く気があるのか無いのか…… 話術の方でも私との会話でもそうだね〜と相槌を打って終わりのことが多い。 私は不安になった一月後最初に約束したカラオケで成果を見せてもらうことになった。 (あっ、また汚い厚底のスニーカーだー……背の高さ気にしているのならペタンコの履けばいいのに……洋服も33歳が着るのには幼すぎる前回徒歩ぽ同じ格好……お化粧は目元だけ見えるけどアイラインがぶつりと切れた滑らかさのないライン、アイシャドウもぼかせていないで層になって色付いている、眉毛も眉山が不自然な位置にある。眉骨と眉毛が一致してないせいだ。) ニューハーフの化粧はまず男の部分を消してから女性部分を足してゆく。 まず初めゼロに戻して書き出していくのだ。 彼はそれができていなかった。 私は彼とはもう縁を切るとそこでもう思った。 カラオケに入ってドリンクが来たら私は彼に話した。 メイク駄目、そんな長い前髪店が許可しない駄目、服装あなたが着るのには遅すぎる駄目、ニーソックスも気持ち悪い駄目、厚底のスニーカーいっつも汚くして好きなの?嫌いなの?好きなものが汚くて気にならないの?駄目! 全部駄目、これを着てみなさい。 私が紙袋を投げ渡した。その中身は白のロングスカート、少し体のラインが出るスエット、ショートブーツが入っていた。 そしてカラオケって気分でもないからさっさと部屋引き上げて帰宅。 帰りに彼を家まで送ってあげ、一言最後に伝えた。 私が選んだ服を着てみなさい。絶対にそれがいいから。 と伝え帰路につく前に少し電信柱に寄りかかりタバコを燻らせる。 そうすると私の送った服を着た彼がアパートの2階から大きな声を出してベランダへ出てきて姿見を道路に投げ落とした。 私の姿にも気が付かない奴はそのまま部屋の中へ なんでもハラスメントって言われる時代にあえてアドバイスくれる人間がいるかっての…… 私はアドバイス答え続けて30歳から4年間でニューハーフの世界大会日本代表選ぶ大会に出場しましたよ〜(笑) 、私は一言、だから昼のオカマは綺麗になれないんだよ。

上記文章は何文字ですか?



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