戦神
「砲台大隊、準備!」
今まで布で覆われていた巨大な台車。
その中身はなんと大砲であった。
先の駐屯地での戦いでは、この男に弓矢が効かないとの報告がなされている。
ならば、さらに強力な兵器を用いればいい。
ミハエルは、人間の兵には命令は出していないようである。
この戦いの指揮官は、それをミハエルはからの信頼だと受け取った。
そして、万が一にも負けないために、砲台大隊まで連れてきたのだ。
砲台は5基。
もっと多数の兵が待ち構えていると思ったが、相手は一人である。
この分なら1基でも十分だった、
(ミハエル様はなにをお考えなのだ。たった一人の人間相手に、ここまでの規模での遠征をしなくとも……)
司令官はそう思った。
「まぁ、いい。さっさと片付けてかえるぞ! 砲台大隊、発射準備!」
「砲台5基、発射準備、よし!」
「……。打てっ!!」
鼓膜をぶち破らんばかりの轟音と共に、5基の砲台から、鉄塊が飛び出す。
それは砲台大隊の腕を如実に表し、吸い込まれるようにソウマに目掛けて飛んでいく。
「多少はマシなもん持ってんじゃないの」
せまる大砲に、ソウマ片足を上げ一撃目目掛けて蹴りおろす。
そして地面を抉り、砂煙を撒き散らしながら鉄の塊は着弾する。
「終わりましたぞ、みんな!勝鬨をあげろ!」
しかし、誰も声を発さない。
砂煙が晴れたその先に、ひとりのは男が無傷で立っていたからだ。
「……はぁ?」
これはさしもの司令官も予想外だった。
この砲台を使えば、堅牢な城すら破壊できるのだ。
はっきり言って、対人兵器ではない。
それを5発、一人の人間に打ち込んだのだ。
跡形もなく吹き飛んでしまうのがオチだ。
しかし。
「俺を倒したいなら、この10倍の大きさか、10倍の数を連れて来るべきだったな」
ソウマを中心に、砕かれた砲弾がただの鉄の塊として転がっていた。
「ば、バカな!?砲台大隊、次弾装填準備!」
しかし、その隙を逃すソウマではない。
風の如く駆け抜け、その拳で砲台を破壊していく。
なんという攻撃力か!
この砲台自体も強固な作りになっていて、人間が素手で破壊できる代物ではない。
もし破壊したいなら、同じ大砲でも持ってこないと無理である。
それを、この男は一撃で全ての砲台を壊して見せた?
あまりの速さと攻撃力に誰一人として動けないでいた。
「さぁ、小細工は無しにしようぜ。正々堂々、正面からぶっ潰してやるから掛かってかい!!」
呆気にとられたとはいえ、訓練された兵隊たちである。
すぐに次の行動にでる。




