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MagiaLostFantagia  作者: 葛葉龍玄
亡国の魔法騎士

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20/23

条件

「よくやったな、エグゼ、アーニャ。ティアラも来たのか」

 ものの見事にソウマを無視して、たたらが出迎えてくれた。

「ミハエルの手下は、引き上げて行ったぞ」

 喜びを露わにするたたらに、4人は暗い面持ちで、話をする。

 敵の駐屯地を破壊し、兵たちは敗走を余儀なくされたこと。

『日を司る精霊』サニーと会話できたこと。

 造魔と交戦したこと。

 精霊と精霊石を求めて、ミハエルが強力な造魔の軍団を、このシスカの町に送り込もうとしていること。

 そして、ミハエルが魔法を使えるかもしれないこと。

 話を聞いていたたたらは険しい表情に、一変した。

「馬鹿者! 状況は悪化しているではないか!

 私は兵を追い払え、と言ったんだ。さらに増やしてどうする!」

「しかし、収穫はあった。精霊と交信できた」

 ソウマが初めて意見を挟んだ。

 というか、今まで発した言葉はものの見事に、たたらによって無視されたのだった……。

「そんなことは貴様にいわれなくても、わかっている!

 こうなってしまっては、仕方がない。早く剣を仕上げるぞ。今回は、エグゼ。お前のチカラも借りるぞ」

 そう言ってたたらは側に置いてあった、巨大な鉄槌を手に取る。

「え? 僕、鍛冶なんてやったことないけど」

「それでも、お前がいないとダメなんだ。特に今回は、魔法に頼ることが出来ん。その代わりに、お前自身の念が必要なんだ」

 まじめに話すたたらの顔は、心なしか、赤いような気がした。

「ソウマ」

 たたらは気をとりなおして、ソウマに向かう。

「もしこの戦で、造魔以外誰一人死者を出さなかったら、貴様からの話し考えてやらないでもないぞ」

 たたらは、誰一人、というところを強調して言った。

「それは、敵味方問わず、ということだな?」

「そうだ。敵の人間の兵であろうが、だ」

 村の人間はおろか、敵の兵すらも、造魔以外は殺さない。

 命のやり取りの場で、そのようなことが果たしてできるのか?

「いいだろう。その代わり、一つ条件がある」

「ものによっては、聞いてやろう」

「戦場に立つのは、俺一人。もしくは『大いなる精霊王の剣』を手にしたエグゼと二人。それ以外の助っ人や、戦力は出さないでほしい」

「ほう……。面白い。相手がどれだけの戦力を揃えてくるかもわからないのに、か?」

「そうだ」

「なっ!?」

 エグゼは、激昂したように声を荒げる。

「馬鹿か、お前はっ! 確かに、4,5匹程度なら、負けないかもしれない。

 しかし、今回よりも強力な造魔がどれだけいるかもわからないんだぞっ!? それをたった一人でだと!? 無理に決まってる!!」

 エグゼの脳裏に思い出されるのは、かつて敗れた時の屈辱だった。

 魔法が使えなかったとはいえ、歯が立たなかった。

 無様に跪き、目の前で国が蹂躙されゆく様を、まざまざと見せつけられたのだ。

「一人で十分。他は足手まといだ」

 きっぱりと、こともなげに言い切って見せるソウマ。

「いいだろう。私はそういうの、好きだよ」

「たたらまでっ!」

「しかし、この町が滅ぼされたり『精霊の寝所』を荒らされるのはかなわん。貴様がやられた時の対策も、こっちで、取らせてもらうぞ」

「もちろんだ。異存はない」

「楽しみにしているぞ。救世主殿」

「ソウマ、無茶だ! 取り消せ!」

 なおも食い下がるエグゼに、ソウマは頑としてその意志を曲げようとはしない。

「戦士が一度口にした約束だ。絶対に曲げん。折れん。そして、必ずやり遂げる」

 その強い決意に、エグゼはなにも言えなくなる。ソウマの瞳には、それだけのチカラが宿っていた。

「ふん。話は終わりだ、エグゼ。行くぞ」

 意味ありげに笑い、たたらは、エグゼを連れて、奥の鍛冶場へと消えていった。

 ソウマはなにを思うのか、腕組みをしたまま、その場で思案顔で立ち尽くしていた。

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